時は流れ、令和日本では「安くこき使える外国人労働者」としてアフリカの人々が注目を集めていた。そんな絶妙なタイミングで、JICAから「ホームタウン」という違和感しかない言葉が飛び出す。90年前の「再現」ではないかと考えるのは当然だろう。

 かつては日本人を異国へ送り出すために使われたが、今回は遠く離れたアフリカの人々を呼び寄せて、それを日本人に受け入れさせるための美辞麗句として活用しようとしている。つまり、しれっとアフリカ人労働者を国内で増やしていくためのプロパガンダだ。

 さて、そこでみなさんが不思議なのは、なぜ日本政府はそこまでして「移民推進」をしたいのかということだろう。

 このテーマになると、日本に仇(あだ)をなす反日勢力が、とか某国のハニートラップに引っかかった政治家連中がパシリになって…というようなストーリーが、ネットやSNSでは「一般常識」であるかのように語られている。だが、そういう「ゴルゴ13」的な国際陰謀的な話ではなく、現実はもっとシンプルだ。

 移民反対と喉を枯らして抗議活動をしているみなさんはショックを受けるだろうが、実は「移民は嫌だけれど、外国人労働者がきてくれないとウチは倒産だよ」という日本人が皆さんの想像以上に、世の中にあふれているのだ。

 ご存じのように日本企業の99.7%は中小企業で、日本人の7割はここで働いている。しかもその中小企業の6割は、社員が数名という小規模事業者である。

 つまり、日経平均株価4万5000円超えとかトランプ関税とかまったく関係のない「小さな会社」が日本経済を支えているという現実があるのだ。

 もちろん、それ自体は他の国でも見られる特徴なので、悪いわけではない。しかし、日本の場合はそういう小さな会社がまったく成長もしないし、潰れもしないので「産業の新陳代謝」が起きないのが問題だ。

 なぜこんな異常事態が続いているのかというと、日本政府が1964年の中小企業基本法から「中小企業保護」という国策を進めてきたからだ。他国では当たり前のように物価上昇に合わせて引き上げる最低賃金をなるべく抑え、苦しい中小企業には補助金などの優遇措置で支えてきた。