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健康のために毎日散歩をする中高年は多い。しかし、有酸素運動だけでは、筋肉や骨を健康的に保つことは不可能だ。健康寿命を延ばすには、年齢に応じた「正しい筋トレ」が欠かせない。脳神経とリハビリに詳しく、数々の老人を救ってきた筆者が、骨と筋肉を若返らせるトレーニングを教える。 ※本稿は、酒向正春『筋肉革命95 何歳からでも実現できる95歳で当たり前に歩いて楽しむ人生を』(日刊現代)の一部を抜粋・編集したものです。

加齢で弱ってしまった筋肉を
復活させるには筋トレしかない

 加齢した筋肉の動きが悪くなり、筋力が低下するメカニズムがわかってきました。最近の科学研究では、加齢する筋肉には難溶性タンパク質が増加することが判明したのです。

 そして、この難溶性タンパク質はとても処理しにくいタンパク質でした。動物実験で、この難溶性タンパク質を除去するために、数々の栄養や薬剤を試しましたが、除去できませんでした。

 そうなんです。弱った筋肉を回復させるのは、栄養や薬剤ではないのです。実は、この難溶性タンパク質を除去できたのは、動物に筋肉トレーニングを行い、筋肉活動を活性化させたからでした。

 これは肺炎や心不全、がん治療後や大きな手術後に寝たきりで動けなくなった患者さんにいくら栄養を与えても、内服や点滴で薬剤治療しても、筋力や体力が回復できないのと同じメカニズムです。

 人でも動かなくなった筋肉を元気にするには、筋肉強化トレーニングや抗重力位トレーニングで、下肢や全身に重力を感じて筋肉活動を行ってもらう必要があります。

 衰えていく筋肉に特効薬はないのです。筋肉を鍛えて動くようにして、難溶性タンパク質を除去するしかありません。