もし光源氏がドラッカーを読んでいたら――。
想像するだけで少し愉快で、でもなぜか妙に気になる。
今年、没後20年を迎えるピーター・F・ドラッカーのマネジメント論は、リーダーが抱える悩みを今も鮮やかに解きほぐしてくれます。
「難しそうだから避けてきた」という人にこそ届いてほしいストーリー仕立てで学べる新しいドラッカー入門、『かの光源氏がドラッカーをお読みになり、マネジメントをなさったら』がついに刊行です。
本記事では、著者の吉田麻子氏にドラッカーの魅力を伺いました。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局 吉田瑞希)

ダメなリーダーは「優秀な部下がほしい」と言う。優秀なリーダーは何をする?Photo: Adobe Stock

「優秀な人」を集めればうまくいくのか

――吉田さんの著書『かの光源氏がドラッカーをお読みになり、マネジメントをなさったら』では、主人公の東堂久志が新人マネジャーたちにドラッカーの読書会を開いています。そこでのセリフがこちらです。

『凡人をして非凡なことをなさしめる』

「イギリスの経済学者、ウィリアム・ベヴァリッジの言葉です。
ドラッカーもまた『凡人をして非凡なことをなさしめることが組織の目的である』
と言っています。

『いかなる組織といえども、天才に頼ることはできない。天才は稀であり、手に入れられるかどうかはわからない。したがって組織の良否は、人の強みを引き出して能力以上の力を発揮させ、並みの人に優れた仕事ができるようにすることができるかにかかっている』

とドラッカーは続けています」

――『かの光源氏がドラッカーをお読みになり、マネジメントをなさったら』P.20より引用

――“優秀な人”を集めれば組織はうまくいくように思えますが、そうではないということですか?

吉田麻子(以下、吉田):そうですよね。どうしても「優秀な人を集めたら組織はうまくいくのではないか」と思ってしまいます。

しかし、「優秀な人」にはさまざまなタイプの人がいますね。

例えば「成績がとても優秀な人」「学歴が高い人」「スポーツで秀でた結果を出した人」「学生時代に起業して成功した人」など……。

私たちはこのようなさまざまな優秀な人を集めたら「すごい組織」ができると思いがちです。

でも、それは本質ではありません。