今年はマネジメントの父、ピーター・F・ドラッカー没後20年を迎えます。そのマネジメント論は現代でも深く息づいています。
「マネジメントの基礎を身につけたい」
「リーダーとして、どうメンバーに接したらいいのかわからない」
「管理職として仕事をしてきたけど、うまくいっていない気がする」
「ドラッカーは難しそうだから、今まで触れてこなかった」
そのような悩みを解決するヒントが詰まった書籍『かの光源氏がドラッカーをお読みになり、マネジメントをなさったら』が発売されます。本書は、これまでドラッカーを知らなかった人でも物語の中でその本質を学べる1冊です。
本記事では、著者の吉田麻子氏にドラッカーの魅力を伺いました。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局 吉田瑞希)

ドラッカーは“人生の羅針盤”になる
――著書『かの光源氏がドラッカーをお読みになり、マネジメントをなさったら』は源氏物語とドラッカーが融合したビジネス小説です。まずは、吉田さんとドラッカーの出会いを教えてください。
ドラッカーを初めて手に取ったのは2007年、37歳の冬でした。
当時、私は札幌でカラーの講師をしており、「カラーで北海道560万人を幸せにする」と意気込んでスクール立ち上げに奔走していた頃でした。
その少し前、異業種交流の場で公認会計士の佐藤等先生と出会いました。佐藤先生やその仲間たちは、未来の北海道の可能性を熱く語り合い、目を輝かせていました。そんな空気に強く惹かれ、調べてみると彼らは「ドラッカー読書会」の仲間だったのです。
その後、私自身も起業することになり、カラーコーディネーターという仕事が社会で通用するのか、周囲からも不安視されるなかで、自分の足場になる確かな経営理論を求めるようになりました。
そこで、憧れの先輩たちが読んでいたドラッカーに挑戦することにしたのです。最初に開いたのは『経営者の条件』。
恐る恐るページをめくったあの日から、ドラッカーは私の仕事と人生の大切な羅針盤になっていきました。
なぜドラッカーは多くの人を魅了するのか
――ズバリ、ドラッカーの魅力とはなんでしょうか。
まず一番最初に驚いたのは、佐藤等先生が札幌で開いていたドラッカー読書会の参加者の方々の姿でした。皆さんが本当にいきいきと語り合い、未来を前向きに描いている。その雰囲気に強く惹かれたのが始まりです。
後に自分でもドラッカーを読むことになり、ドラッカーマネジメントの真髄にある「人の強みを生かす」「私的な強みは公益となる」という教えを知って、なにか自分以外のものになろうとするのではなく、自分らしさを生かしたうえで世のため人のためとなる仕事をする、という考えが読む人をのびのびとさせ、いきいきと働かせるのではないかと感じました。
また、ドラッカーの言葉には未来を切り拓く力があります。「顧客の創造」や「販売を不要にする」といったフレーズは、現状に固執せず新しい未来を描かせてくれる。読んだ人にエネルギーを与え、実践へと向かわせる不思議な力を持っているのです。
実際に、ドラッカーを読んだ人が何かをつかんで「目が輝き、動き出す瞬間」を、私は何度も目にしてきました。
あの瞬間こそ、ドラッカーの魅力の本質ではないかと思っています。