「もう頑張れない…」心が折れそうな人が知らない“あまりにも単純な事実”
誰にでも、悩みや不安は尽きないもの。とくに寝る前、ふと嫌な出来事を思い出して眠れなくなることはありませんか。そんなときに心の支えになるのが、『精神科医Tomyが教える 40代を後悔せず生きる言葉』(ダイヤモンド社)など、累計33万部を突破した人気シリーズの原点、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)です。ゲイであることのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症――深い苦しみを経てたどり着いた、自分らしさに裏打ちされた説得力ある言葉の数々。心が沈んだとき、そっと寄り添い、優しい言葉で気持ちを軽くしてくれる“言葉の精神安定剤”。読めばスッと気分が晴れ、今日一日を少しラクに過ごせるはずです。
Photo: Adobe Stock
精神科医として伝えたいこと
今日は皆さんに、私が日々の診療の中で感じている、ある大切なことについてお話ししたいと思います。
それは、「みんな頑張って生きているんだ」と認識することの重要性です。
精神科医の視点から見える「頑張り」
精神科の初診では、患者さんがどのような状況で、どのような人生を歩んでこられたのかを詳しくお伺いします。生い立ちや家族構成、学歴、職歴、そして今までの人生で経験されたさまざまな出来事など、多岐にわたる情報をお聞きします。
その目的は、患者さんが今、何に困っていて、それは病気によるものなのか、もしそうであれば診断名をつけ、どのように治療していくべきかを判断するためです。医師として客観的な第三者の視点で情報を集め、分析しています。
患者さんのお話の中には、想像を絶するような大変な経験や、つらい出来事が含まれていることも少なくありません。そのようなお話をお聞きするたびに、私は人として「大変だったでしょう」と感じると同時に、医師として、ある一つの共通した思いを抱きます。
それは、「誰もが皆、それぞれの場所で頑張って生きてきたんだな」ということです。
あなたの人生を肯定する方法
「自分の人生は、これでいいのだろうか」「自分はダメな人間なのではないか」――このように感じ、悩んでいる方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。私自身も、そう思うことがあります。
では、どうすれば自分の人生を肯定できるようになるのでしょうか。
その答えは、先ほどお話しした「みんな頑張って生きているし、自分も頑張って生きているんだ」と気づくことだと、私は思います。
「頑張れていない」と感じるあなたへ
もしかしたら、「自分は頑張れていない」と感じる人もいるかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか。
「頑張れていない」と感じているということは、「本当はこうしたいのに、うまくいかない」「このままではいけない」と悩んでいる証拠です。現状をなんとかしたい、もっと良くなりたいと思っているからこそ悩むのです。それは、まさしく「一生懸命に生きている」姿そのものではないでしょうか。
ですから、誰もが皆、一生懸命に生きているのです。「生きている」ということ自体が、すでに一生懸命な営みである、とも言えるでしょう。
生きているだけで、あなたは素晴らしい
思うようにいかないこと、自分をダメだと感じてしまうことは、誰にでもあります。「どうして自分だけがこんな思いを…」と感じることもあるでしょう。確かに、大変な状況に置かれている方はいらっしゃいます。しかし、それでもあなたは今、ここに生きています。
「ここにいる」という事実だけで、あなたは十分に頑張っているのです。それ以上に素晴らしいことはないと、私は思います。
「私は頑張って生きてなんかいません」と言う人がいたら、私はそれは違う、と言いたいです。本当に何も頑張っていなければ、悩むことすらないはずです。悩んでいるということは、何かを乗り越えよう、なんとかしようと、もがいている証拠です。
頑張っていない人など誰もいない
その過程で諦めたり、無気力になったりすることがあったとしても、そこには「頑張った」という事実が確かに存在します。ですから、頑張っていない人など誰もいません。どうか、その事実を受け入れて、ご自身の人生を肯定してあげてください。
自分の人生を肯定することは、あなたの心の中に、安定した揺るぎない「核」のようなものを作ってくれます。その核が、これから先、あなた自身を支える大きな力になってくれるはずです。
みんな頑張って生きています。だから、あなたもここにいるのです。それで十分、素晴らしいことなのです。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。








