タイミングがくるまで諦めない
自己肯定感を高める「逆境の力」
しかし、それは単にまだその時期が訪れていないだけにすぎません。
今日の企業は多様化していて、新しい業務に取り組むことが珍しくありません。その新しい環境で、今まで発揮できなかった自分の能力が開花し、必要不可欠な人材になる可能性は非常に高いと思います。
たとえば、プロ野球では、ベンチを温めていた選手がトレードでほか球団に移り、主力選手として活躍するようになるケースがよくあります。これらの選手に共通しているのは、立ち位置がない間も腐らず、嘆かず、自分にできる努力を続けた点です。
自分に能力がないと諦めて、練習を怠けているようでは、自分の立ち位置をたしかなものにする時機など永遠にやってきません。
表舞台に出ない間に実力を磨き、機会をじっと待つことを「雌伏」といいます。なにより大切なのがこの姿勢。苦しい経験を乗り越えた人は、それ自体が大きな財産となり、他人の悲しみや苦しみに自然と寄り添えるようになります。
順風満帆で何も苦しんだことがない人には、他人の悲しみを理解することはできません。悲哀を体感することで、他人の悲しみに寄り添う力が養われます。人の悲しみに寄り添える。その人間としての価値、器量は大きいと思いませんか?
それは、見えない痛みにも手を差し伸べられる優しさの証なのです。
人は、悲しみをくぐり抜けることで、一皮も二皮もむけて成長します。どうやってそのきたるべき時機を待つかです。最終的に、チャンスを活かせるかは、それまでの努力次第になります。
「運」じゃない!
たった1文字の要素とは?
人生には自分の能力や努力ではどうにもできない巡り合わせがある。「運」に任せて、思慮分別などしないほうがいい。
運とは、自分の努力や能力ではどうにもならない、外側からもたらされるものです。仕事で成果を出しても、それが評価や出世につながるかどうかは、運に左右されることが少なくありません。
たとえば、大学教員の世界では、指導教授が退職したことで昇進できる人もいれば、長く居座る教授のもとで停滞してしまう人もいます。ビジネスの世界でも、会社の方針や人事異動で、それまでの努力が活かされなくなることもあります。