禅が教える“反応しない”生き方写真はイメージです Photo:PIXTA

「理不尽な言葉にカッとなってしまった」そんな経験は誰にでもあるはず。しかし、怒りに心を支配されてしまうと、事態は悪化するばかり。禅の思想に基づいた「呼吸の整え方」を実践すれば、感情に振りまわされない力が養われる。禅僧で庭園デザイナーの枡野俊明氏が説く、ストレス社会をしなやかに生きるヒントとは?※本稿は、枡野俊明『感情に振りまわされない―禅の教え42 気にしないコツ』(総合法令出版)の一部を抜粋・編集したものです。

自分の感情をコントロールする
「反応しないコツ」とは?

放下着(ほうげじゃく)

何もかも放り捨ててしまえ。我欲、執着、分別…といったことはもちろん、自分は悟っていると考える思考すら放り捨てよ。

 現代がストレス社会であることに異を唱える人はいないでしょう。仕事や人間関係、家庭内の悩みなど、誰もが少なからずストレスを抱え、イライラやモヤモヤを募らせています。

 そのようなストレスを抱えた人間同士が関わり合っているのですから、感情がぶつかり合い、思いがすれ違い、思わず腹を立ててしまうことも少なくありません。

 相手の言葉や態度にカチンときた瞬間、怒りの感情が湧き上がるのは、ごく自然なことです。誰だって、理不尽な言葉を投げかけられたり、気にしていることを露骨に指摘されたりすれば、平静心を保つのは難しいものです。

 しかし、問題はその後の対応です。禅では、こうした怒りを「頭に上げる」と表現します。つまり、怒りに頭が支配されてしまうと、理性が働かなくなり、事態は悪化の一途をたどるのです。