インスタですっぴんは当たり前?
タレントが一般人と距離を縮める方法

 これは一つの案ではあるが、タレント自身の情報発信が鍵になるのではないか。永野芽郁のインスタグラムは、事務所スタッフが撮ったと思われる写真や告知が多く、つけられるテキストも最小限だった。本人がSNSでの発信を好むタイプではなかったように見える。

 普段から自分の言葉での発信が最小限であったために、騒動についての言及がなくても違和感が少ない面はあったのだが、一方でこのスルーっぷりが「視聴者と距離を取っている」ようにも見えてしまう。

 また、厳しいことを言うと、令和においては俳優も自分の言葉で発信できることが求められている。事務所のお人形ではなく、歌手にしろ俳優にしろ、仕事に挑む際の主体性をアピールできると強い。

 最近では川口春奈が、インスタのストーリーにすっぴんと思われる写真をアップし、シミのある素顔を堂々とさらけ出したことが話題となった(本当にシミなのか、役作りでシミのあるメイクをしていたのかわからないが、おおむね素顔と受け止められている)。自分で綴ったのであろう長めのテキストもつけられていた。

 この投稿への反応は驚きが多いが、女性ファンを中心に「いくらでも加工できる時代に飾らない自分を出してすごい」といった好意的な受け止めが多い。タレントのSNS発信はどうしても番宣や広告を担当する商品のPR、告知が必要となりがちだが、こういった「公」の発信だけではなく、「素」が見える瞬間に、ファンとのつながりが強化される。

「普段の様子を知っている」と思う相手のことを人間は嫌いになりづらい。SNSでの古参フォロワーたちは、ショッキングな報道が出てしまった後でも、離れづらいファンである。

 世間の評判が落ちてしまった際に支えてくれるのは、日頃から見守ってくれていたファンである。その層に対する日頃からの程よい発信が、窮地の際の救いとなる可能性がある。

 タレントのイメージがある程度虚像であることは、消費者も理解している。だからこそ、素顔をどのタイミングでどう見せるか。イメージを守るよりも常に更新できる俳優が、これから生き残っていくのだろう。