散水した旋回路では
ドリフト円旋回にトライ

 Rのフロントデフはフリーだが、一方のGTIはブレーキによるXDSとともに、多板クラッチを用いた電子制御油圧式フロントデファレンシャルロックを採用。旋回性能を高めている。こちらもアフターパーツのLSDにありがちな介入感はなく、自然な感覚でコーナリングできた。FFとしてこれ以上はないほどのパフォーマンスといえる。

 Rならではの走りをより深く味わうために試乗場所を移動。スラローム走行でトルクベクタリングのパフォーマンスを確認した。小さな舵角のままパイロンの間をスイスイと駆けぬけていけるのが気持ちいい。攻めた走り方を試すと、物理の限界を強制的に引き上げたかのような曲がり方ができてしまうのも印象的だ。

 散水した旋回路では、ドリフト円旋回にトライした。FFベースの4WDは、少し前までアンダーステアが当たり前で、ドリフトは難しかった。しかし最新のRなら話が違う。機構面で共通性の高いアウディRS3が装備するドリフトに特化したドライブモードはないが、走り系のモードを選んで転舵した状態でアクセルを踏み込むと、リアに積極的にトルクが配分されてテールスライドする。キッカケが作りやすく、筆者のスキルでも上手く決まればドリフト円旋回を楽しむことができた。

 最新最強のゴルフRは、優れたパフォーマンスに加えて、ドライビングプレジャーの度合いもグンと高まっていた。高価だがスペシャルな存在として実に魅力的である。

(CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一郎 写真/横田康志朗+Volkswagen Japan) 

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