絶望的に仕事ができない人は「この方法でうまくいったから、次も同じでいい」と考える。じゃあ、仕事ができる人はどうするか。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。これからの生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。『ゆるストイック』では、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、誰でもできるプロセスとしてみなさんに共有する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

絶望的に仕事ができない人は「この方法でうまくいったから、次も同じでいい」と考える。じゃあ、仕事ができる人は?Photo: Adobe Stock

アンラーニングが開く新しい世界

 学び続けることは大切ですが、現代では「学ぶこと」以上に「学びを手放すこと」が重要になっています。

 これを「アンラーニング(unlearning)」と呼びます。過去に有効だった知識や方法に固執すると、新しい変化に適応できなくなるからです。

 アンラーニングは、次の成長を可能にするための前提条件なのです。

古い成功体験を捨てる

 多くの人が変化に適応できない原因は、過去の成功体験にとらわれているからです

「この方法でうまくいったから、次も同じでいい」と考えると、新しい状況に対応できません。
 過去のやり方をいったん疑い、捨てることで、柔軟な行動が可能になります

 それなのに、仕事が絶望的にできない人は、「このままでいい」と考えてしまうんですよね。

知識のアップデートが不可欠

 情報の変化スピードはかつてなく速くなっています。

 5年前に正しかった知識が、いまは誤りであることも珍しくありません

 学び続けるだけでは不十分で、古い知識を更新する姿勢が必要です。

 アンラーニングは、過去の知識を意識的に棚卸しし、最新の環境に合わせるプロセスでもあります。

心の余白を生む効果

 アンラーニングは、単に知識を削除する行為ではありません。

 不要なものを手放すことで心に余白が生まれ、新しい発想や挑戦が入り込む余地をつくります。
 これは、ストイックな努力を続けるためにも有効です

 持ち物を減らすミニマリズムと同じように、思考の世界でも「減らすこと」が前進を促します

 アンラーニングは、新しい成長を可能にする出発点です。
 古い成功体験や知識を捨て、心に余白を持つことで、変化に柔軟に対応できます。

 学ぶだけでなく、学びを手放すことも成長の一部。
 これが「ゆるストイック」の実践です。
 私たちもまた、不要な学びを手放し、ゆるストイックに生きましょう

佐藤航陽(さとう・かつあき)
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)は8.5万部を突破した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86 をスタートさせた。