AIバブル崩壊、米のリスクを
石破首相が肩代わり!?

 トランプ大統領の就任時に孫正義さんが大統領に約束したのが78兆円の投資でした。これがソフトバンクグループ、オープンAI、オラクルなどを中心としたスターゲート計画です。しかし当初はその巨額な資金をどうやって孫さんが手に入れるのか疑問視されていました。

 ところがその後、石破首相がトランプ大統領に80兆円の投資を約束します。金額規模が一致するだけでなく、合意では投資先はトランプ氏が決められるとされています。普通に考えれば少なくともトランプ大統領の頭の中ではひとつのビジネスプランが描かれていると捉えるべき状況です。

 一方でここまで書いたシナリオには大きなリスクがあります。イノベーションによってAI開発や運用にこれほど巨大なデータセンターを必要としない新技術が発明されるリスクです。そのリスクの80兆円分を石破首相が肩代わりしてくれたというのが、トランプ大統領にとっての成果で、「なぜ今か?」というとAIバブル崩壊のリスクを憂慮する必要がなくなったことが大きいでしょう。

 つぎにエヌビディアにとっての「なぜ今?」につながる重要なポイントを指摘させていただきます。

 10年後の未来が、AI貿易による国家間の覇権の未来だとしても、その中心にエヌビディアはとどまることができるのかどうか?おそらくフィフティフィフティだと考えられます。

 いまのAI開発では開発企業はどうしてもエヌビディアのGPUと開発インフラに頼らざるをえません。しかしその投資額が負担になることからGAFAM級の巨大企業は半導体チップの自社開発にも力を入れています。

 エヌビディアにとってもうひとつ頭が痛いことに、AIについての米中の覇権争いの構図から、中国市場では今後、脱エヌビディアの動きが活発になっていくことです。

 それが中国の半導体企業の台頭につながるだけでも頭が痛いのですが、年初のディープシークショックのように巨大データセンターに依存しない方法でのAI開発が中国で主流になればエヌビディアにとってのゲームチェンジが起きてしまいます。