銀行Photo:PIXTA

2月末に経営破綻した四国の名門製紙、丸住製紙と取引していた金融機関の融資額と貸倒額がダイヤモンド編集部の取材で分かった。貸倒額の上位を地方銀行が占め、地元で“お殿様”のように君臨してきた丸住製紙に忖度(そんたく)し、無担保融資を重ねた地銀が、軒並み甚大な損失を被った実態が浮かび上がる。14金融機関の実名に加え、融資額と貸倒額、焦げ付き率を全公開する。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

丸住製紙への貸倒額が判明
14金融機関の実名を公開

 四国の名門、丸住製紙(愛媛県四国中央市)が2月末に民事再生法の適用を申請した。3月初めの債権者集会で「3カ月以内にスポンサーを決め、その間の資金繰りには問題はない」と強調したものの、スポンサーは決まらないまま3カ月が経過した。

 同社は新聞・出版用紙など主力の洋紙から撤退し、①紙原料のパルプ、②ペーパータオルやウエットティッシュなどの衛生用紙、③自家発電による売電――この3事業に絞る方針を示していた。ところが4月以降、社員の大半を退職させる方向で調整を進めており、パルプ・衛生用紙・売電の各事業も撤退の可能性が浮上している。

 東京地裁への再生計画案の提出期限は6月12日。スポンサー不在のまま、破産や特別清算へ移行する公算も高まっている。こうした中、ダイヤモンド編集部の取材で、丸住製紙と取引があった金融機関の融資額と貸倒額が判明した。

図表:丸住製紙・貸倒額ランキング(サンプル)

 融資残高や貸倒額、焦げ付き比率を金融機関別に精査すると、地元で“お殿様”のように君臨してきた丸住製紙に対し、忖度(そんたく)する形で、無担保融資を重ねてきた地方銀行が、軒並み甚大な損失を抱えた構図が浮かび上がる。一方、地銀以外では融資残高が多かった三井住友信託銀行、みずほ銀行、日本政策投資銀行の損失はどうだったのか。次ページで取引金融機関の実名と金額を公開する。