
首都圏に暮らすからこそ選べるのが「大学付属中学」。近年はMARCH(明治・青山・立教・中央・法政)などの有名大学の付属校が人気を集めている。ただ、その魅力や価値は外から見ても一目ではわかりにくく、しばしば議論を呼んできた。なぜ付属校を選ぶ家庭が増えているのか。その背景と選択の意味を探る連載第24回。(進学塾VAMOS代表 富永雄輔、構成/ライター 奥田由意)
首都圏だからこそ手に入る“付属校”という選択肢
近年、MARCH(明治、青山、立教、中央、法政)などの有名大学付属の中学が人気です。まず、付属校は、関西にも若干あるものの、多くが首都圏に集まっています。県立高校や国立大学であれば、各県に必ずいくつか県を代表する学校や大学がありますが、付属校は1都3県など都市圏を中心に存在するため、どうしても地方在住の人には、その価値を伝えづらいこともあり、議論を呼びやすいという特徴があります。
外から見ると、付属校の価値は確かに分かりづらいものです。法政大学の附属、明治大学付属などのように、大学の名前が高校の名前に直結しているため、大学の偏差値と中学高校の偏差値を同じ尺度で見てしまいがちですが、これは適切ではありません。
また、いわゆる「得か損か」という議論にしても、入った本人たちにしかわからないことだと私は考えています。
よく耳にするのは「中学からMARCH(明治、青山、立教、中央、法政)に入るなんて、お金と時間の無駄じゃないか」という声です。こうした意見の背景にあるのは、そこまで費用をかけて中学受験でMARCHに入らずとも、大学受験からでもMARCHに行けるという思いがあるのでしょう。
確かにMARCHの各大学には、都立高校、首都圏の県立高校、私立高校、地方の県立高校からもたくさんの生徒が入学しているのは紛れもない事実です。