
「大学までエスカレーターに乗った気持ちで安心」と思って付属校を選んだはずが、気づけば“進学先の壁”に直面することもある。地方国立大や旧帝大を視野に入れる場合はどう考えればいいのか、それとも付属のメリットを最大限に活かすか――親が迷う付属校選びの本質に迫る連載25回。(進学塾VAMOS代表 富永雄輔、構成/ライター 奥田由意)
付属校の最大リスクは“進学先の壁”
付属校でひとつ注意しなければならないのは、進学先の問題です。付属校から地方国立大学へというルートは構造的に非常に困難であり、中学入学や高校入学の時点で、ある程度の選択肢を諦めなければならないという現実があります。付属校では、基本的に9割方が付属大学に進学するので、その恩恵を受けるつもりでなければ、進学面でのメリットはないかもしれません。
例えば、数学が特別に得意で、数学をとことん学ばせたいと考えているのであれば、付属校では、進学できる学部や学科が限られてしまうかもしれません。そういう場合は他の進学校の選択肢を真剣に検討すべきでしょう。
友達付き合いが得意で、文化祭などの学校行事が大好きで、人間関係を重視して生きていくタイプだと判断するのであれば、付属校でより広く多様な人間関係を早い段階から身につけさせることは、将来にとって非常に重要な意味を持つかもしれません。
地方国立大学かMARCHかという進学先の対比についても、結局のところその人がどのような生き方をしたいかによって答えは大きく変わってきます。これからの世の中において、大学だけで人生の全てが決まるわけでは決してありません。その人が大学卒業後にどのようなことをしたいのか、どのような分野で活躍したいのかを、できるだけ早い時期からイメージしておくことが何より重要です。