それでは、頻出語ランキングの順位・ワード(回数)と、共起語を紹介していきます。そしてランキングに沿って、特に興味深いポイントを解説しましょう。
第1位 country(33回)
共起語:world(28回)、united(20回)、states(18回)
頻出語ランキング1位は、countryでした。そして共起語は、world、united、statesでした。もう分かりますね?先ほども述べましたが、countryとworldと対比させることで、「米国は世界のどこよりも強い国である」と位置付けるような文が多かったのです。
第2位 world(28回)
共起語:countries(10回)、history(8回)、peace(5回)
頻出語ランキング2位は、worldでした。「世界の歴史」「世界の平和」といった文脈で繰り返され、舞台まわしの役割で使われました。ちなみに共起語にあるcountriesはcountryの複数形ですが、頻出単語としては全く別でカウントしています。詳しくは次のページでのランキングを確認してみてください。
第7位 war(16回)
共起語:years(13回)、peace(5回)、ended(4回)
順位は少し飛びますが、7位はwarでした。「戦争そのもの」より「終わらせた成果」を中心に据える言葉づかいだったのが印象的です。例えば、演説開始から5分ほどたった以下の文。
“I ended wars that had gone on for decades. Wars going for 31 years were brought to an end.”
(私は何十年も続いた戦争を終わらせた。31年続いた戦争が終わりを迎えたのだ。)
トランプ氏が、平和の未来像を描くより、「長く続いた戦争を自分が終わらせた」という実績を強調しているのが分かります。
第10位 years(13回)/第18位 history(8回)
6位のwar共起語であるyearsは、頻出語ランキングで10位でした。また、同18位にはhistoryが入っています。トランプ氏は自身の大統領任期を「歴史的転換点」として描写していました。
移民問題は今や日本でも議論される重要テーマだが...
第11位 border(12回)
共起語:immigration(9回)、illegal(5回)、southern(4回)
11位はborderで、共起語と併せて、移民問題に関する言及で多用されました。トランプ氏は、 国境を「守るべき線」の意で発言。その語り口はある意味、不安を喚起させるようでもありました。例えばスピーチ開始10分ごろの以下の文。
“Millions of people pouring across our southern border. Illegal immigration is destroying communities.”
(何百万もの人々が南部国境を越えて押し寄せている。不法移民は地域社会を破壊している。)
移民問題は米国のみならず欧州、そして今や日本でも議論される重要テーマです。トランプ氏は国連という世界舞台であえて「southern border(南部国境)」を強調しました。これは米国内のトランプ支持層を刺激する言葉です。彼にとって国際協調よりも国内基盤にアピールすることが、優先順位が高いのだなと思わざるを得ません。
第15位 immigration(9回)
共起語:border(12回)、illegal(5回)、countries(10回)
ちなみにborderの共起語で出てくるimmigrationは頻出語ランキング15位でした。「illegal immigration」という表現で、移民を脅威と直結させていました。