「仲間氏の言葉はいつも流暢で自信に満ち溢れていますが、その瞳の奥に、私を値踏みしているかのような冷たい光を感じるんです。彼はビジネスパートナーとして本当に信頼できる人物なのでしょうか?このまま彼と組んで、もし何かあったら私の会社は、そして私の人生はどうなってしまうのか考えてしまうんです」
辻岡さんの言葉には、ビジネス成功への大きな期待と、裏切りへの深い恐怖が入り混じっていました。
私は、辻岡さんの不安に揺れる瞳を見つめながら言いました。
「不安を解消し、真実を明らかにすることが我々の仕事です。仲間氏が実際にどこに住んでいるのかを突き止めることをお勧めいたします」
これは単なる住所特定の調査ではなく、辻岡さんのビジネスや人生を左右する、極めて重要な調査になると感じました。
依頼を受け辻岡さんと作戦会議を行いました。
通常より手厚い
尾行体制にした理由
現住所を割り出すためには、仲間氏の面取り(対象者を特定すること)が必須なので、辻岡さんに仲間氏を呼び出してもらい尾行するという作戦を立てました。
仲間氏が詐欺目的の人物なら、警戒心が強いことが想定されます。移動方法も特定できておらず、徒歩・車・バイク・自転車・公共交通機関・タクシーなど多くの選択肢を想定する必要があります。
今回は通常よりも手厚い尾行体制が必要と判断し、徒歩や公共交通機関担当1人・車担当1人・バイク担当1人の、合計3人体制を準備しました。
徒歩と公共交通機関は私が担当し、田中を中型スクーターのバイク担当、宮本を車担当に配置しました。両人とも数々の修羅場を潜り抜けてきた信頼できるベテラン調査員です。
調査当日の18時に四谷にある居酒屋で、仲間氏と辻岡さんの社員2人との計4人で打ち合わせの場を設けてもらいました。