
職場の空気を悪くし、生産性まで下げる「不機嫌な人」。話しかけるのもおっくうですが、実は感じのいい人は、ある「魔法の一言」でそのオーラを無力化しているといいます。相手の気分を害さず、むしろポジティブな空気に変えてしまう、その驚きのコミュニケーション術とは?心理学に基づいた、明日から使える人間関係の改善テクニックを伝授します。(文/心理学者・立正大学客員教授 内藤誼人)
不機嫌な人は
年収が低い
中国には、「笑顔を見せられないのなら、商売人になるな」といった意味のことわざがあるそうです。いつでもニコニコしていて、だれにでも笑顔を見せられる「感じのいい人」ほど実際に仕事もうまくいくようです。
米イリノイ大学のエド・ディーナーは、1976年に大学に入学した2万5000人以上の学生に性格テストを受けてもらい、19年後の1995年に連絡を取って、年収を教えてもらいました。
すると、大学入学時点で、「チアフルネス」(上機嫌、陽気、快活)得点の高い人ほど、19年後の年収は高くなる傾向にあることがわかりました。チアフルネス得点の高い人は高収入であるばかりでなく、職務満足感も高く、さらに仮に職を失ったとしても、次の職につくまでの期間も短いことも合わせて確認されました。
ビジネスで成功したいのなら、つねに上機嫌で、陽気でいることが肝要です。
上記のチアフルネスの条件は、そのまま感じがいい人の特徴と言えます。出世争いなどをしているライバルなどではない限り、上機嫌で陽気で快活な同僚がいたら一緒に仕事をしたいと思うのが普通です。
逆に不機嫌な顔をしていたら、ビジネスチャンスをつかむこともできません。
不機嫌な人とわざわざ一緒に仕事をしたい人はいません。そういう人はプロジェクトに声がかかりづらくなったり、上司も仕事を任せづらかったりしてチャンスが減りそうだということは経験則や肌感覚として理解していただけるのではないでしょうか。
こんなデメリットがあるにもかかわらず、どの職場にだっていつも仏頂面というか、苦虫をかみつぶしたような、不機嫌な人はいるものです。そして、彼らの多くは「自分が不機嫌である」ということを察してもらいたそうな“オーラ”を発しています。
そういう人がいると職場の空気も自然と悪くなりますし、話しかけづらいというのはコミュニケーションコストでしかありません。こういう人間を何とかしたいと願う人も少なくないでしょう。そういう人と仕事をしなければいけないとき、不機嫌な人の地雷を踏まないようにいちいち気を使わないといけないのはストレスです。
では、職場で不機嫌オーラを発する人がいたとき、どのように対処するのが正解なのでしょうか。今回は心理学の知見に基づいた「魔法の一言」を紹介したいと思います。