「『なぜ、そう思うの?』は、絶対にNGです」
「なぜなぜ分析」をはじめに「なぜ?」という問いは“論理的に考える”ための「良い質問」だと考えられている。しかし実は「なぜ?」「どうして?」は、致命的な「解釈のズレ」を生み、噛み合わない会話=「空中戦」を作り出してしまう元凶、「最悪の質問」なのだ。
「事実と解釈の違い。これに気づけていない人は、まだ確実に“曇りガラス”の中にいます」――。話題の新刊『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』では、世界・国内の各地で実践・観察を積み重ねてきた著者による「賢い質問の方法」=事実質問術を紹介している。本書に掲載された衝撃の新事実の中から、今回は「ありがちなNG質問」について紹介する。(構成/ダイヤモンド社・榛村光哲)

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「ふわっとした指示」していませんか?

職場で「なんだか頼りないな」と思われてしまう人には、ある共通点があります。
それは――

・「しっかりやって」
・「ちゃんとまとめておいて」

といった、ふわっとした指示しかできないことです。

解釈の余地が大きすぎる指示

「しっかりやって」と言われた側は、具体的に何をすればいいのでしょうか?
資料を詳しくする? デザインを丁寧にする? スピードを上げる?

結局、解釈の余地が大きすぎて、受け取った側が気を利かせて「相手のイメージに近づける努力」をしなければなりません。
これは、指示を出す側が自分の頭の中の完成形を言語化できていない証拠です。

賢い人は「事実ベース」で完成形を握る

一方で、頭のいい人は違います。
彼らは「しっかり」「ちゃんと」といった抽象的な表現ではなく、事実ベースで完成形を握ることを大事にします。

・「A4一枚にまとめて」
「3つの選択肢を比較できる形にして」
・「数字は直近3か月分を入れて」

このように完成形を具体的に示すことで、相手は迷わず動ける。
だからこそ「この人の指示はわかりやすい」と信頼されるのです。

話すときは「事実質問」でベースを揃える

残念ながら「ふわっとした指示しか出せない人」と会話する場面もあります。
そんなときに効果的なのが事実質問です。

・「資料を見ていただいたのは、いつですか?」(When)
・「改善すべきだと考えられたのは、どの点ですか?」(What)
・「前回この資料を使って提案をした相手はどなたですか?」(Who)

このように事実を確認していけば、相手のぼんやりしたイメージを形にし、ようやく対話のベースを揃えることができるようになるのです。

(本記事は『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』に関する書き下ろしです)