「+労働時間」は、職位・職階に加え、さらに労働時間を統制した場合の男女賃金格差だが、ほとんどゼロになっている。
つまり、「+ジョブグレード、職能等級」のモデルに比べより縮小した9%ほどの格差は、男女の労働時間の違いによって発生していると説明することができる。
働き方を変えていけば
賃金格差は埋められる
この結果から、長時間労働プレミアムが発生している可能性が疑われる。つまり、長時間労働できる人間だけが評価され、昇進の対象になるといった傾向が生じているかもしれないのだ。
『男女賃金格差の経済学』(大湾秀雄、日経BP)
女性の昇進・昇格の遅れも相当程度過去の労働時間の違いによって説明できると考えられるので、過去の労働時間も併せた、労働時間の説明力は相当高いと推察できる。
長時間労働できる人だけが昇進や高い業績評価を通じて高収入を得ることができる構造は、是正されつつあるとはいえ、相当数の企業でまだ残っており、男女格差を解消する上で、避けて通れない問題である。
長時間労働を行わなくても会社に貢献できる体制を確立するためには、働き方改革を通じて、冗長な業務の撤廃、デジタルツールを使った業務の自動化、業務の可視化や共有化を通じたチーム作業の推進、受注選別の強化、など多面的な取組みを進めていく必要がある。
労働時間が男女賃金差のかなりの部分を説明できる場合は、職域や部門ごとに、労働時間や昇進率の男女差がどのように推移しているのかモニタリングすることも努力を促すために有効であろう。







