冨永愛が「キャリアか子どもか」で迷う女性に伝えたい、「男女不平等の世界」で目指すべきこと

トップモデル、俳優として活躍しながらも、母としての顔も持つ冨永愛。キャリアと子ども、両方を手に入れたと思われがちな彼女にも切り捨ててきたものはある。令和になっても続く男女不平等の現実。未だ「昭和」を生きる現代人たちに彼女が鳴らす警鐘とは?※本稿は、『冨永 愛 新・幸福論 生きたいように生きる』(主婦の友社)の一部を抜粋・編集したものです。

出世してもいいことなし?!
キャリア欲のない日本の女性たち

 以前テレビのトーク番組で、若い女性たちの悩み相談に答えたことがあった。そのときの相談の中に「キャリアを選ぶのか、出産を選ぶのか迷う」という質問がいくつかあった。

 女性がキャリアを重ねたいと思うのは当然のことだ。でも、キャリア形成に重要な20代から30代は、女性にとっての出産年齢とも重なる。「どちらかしか選べないのではないか」と思ってしまう気持ちも、わかる。

 毎年話題になっているが、日本の「ジェンダーギャップ指数」はとんでもなく低い。ジェンダーギャップとは、性別の違いによって生じる格差のことだ。それを数値化したのが、ジェンダーギャップ指数。

 2023年の日本の順位は146カ国中125位だった。前年の116位からさらに後退。アフリカやアジアの途上国よりもはるかに低い数字で、アジア圏の韓国や中国にも水をあけられている。

 政治・経済・教育・保健の4つの分野での指数があるが、なかでも政治と経済が非常に低い。政治は138位だから、ほぼ最低レベル。経済は123位。上層部にいるのは男性ばかり、という日本の社会の現状を表す数字だ(※)。

 世界の動きから見ると、男女差別がここまであからさまに存在することは非常に恥ずかしい。企業は海外の投資家の目もあるので、女性の管理職を増やそうと努力している。しかし、一方で、管理職を希望する女性が少ないとも聞く。事実「私は出世したいと思わない」という女性は私のまわりにもいる。

 この言葉を、男性たちは「日本の女性は出世なんて望んでいないんだよ。欧米の女性とは違うんだよ」などと都合よく受け止めているかもしれないけれど、そうではない。出世したっていいことなんて何もないと思えるからだ。

(※)2024年に発表された調査では、日本の順位は146ヵ国中118位。政治は113位、経済は120位となった。順位は上げたものの、依然極めて低い順位であることは変わらない。

令和もキャリアか子どもかの二者択一
昭和99年を生きるのはやめよう

 管理職になれば多少給料は上がるかもしれないけれど、プライベートの時間が減るし、子育ては相変わらず女性の負担になりがちだし、職場でも相変わらず男性優位。出世してもメリットは薄い、と考える女性は少なくない。

 昭和から平成、そして令和になったのに、昭和のモーレツ社員時代にキャリアを積んだ経営陣が企業の上層部に大量に残っていて、働き方改革やダイバーシティ、女性活躍を当たり前とするミレニアル世代、Z世代の常識に順応しきれずに、企業の中に曖昧な状況を生んでいる。