しれっと列に入り
列車に乗ろうとすると・・・
「怪しい男性の動きに、周囲の人たちは気づいていました。ですが、誰も口を開きません。注意をしてトラブルになったら面倒だと、多くの人が思っていたのでしょう。徐々にホームには嫌な空気がたちこめ、チラッと目線をやる人も。モヤモヤとした居心地の悪さが、乗客たちの間に広がっていくのを感じました」
5分後、電車が到着すると、その男性は思ったとおりの行動をとります。
「列車が到着すると、降車ホーム側のドアが開き、乗っていた人が降りていきます。そうすると、並んでいる人は一歩前に進み、ドアが開くのを待つわけですが、その怪しい男も、さらに1歩、しれっと列に入り、列車に乗ろうと体勢を整えました」
「『やりやがったな!』と思った矢先、私の前にいた制服の高校生が声をあげました」
「大人なんだから」
男子高校生の一言が直撃
「『あの~、大人なんだから、順番くらい守りましょうよ』。彼は臆する様子もなく、割り込んだ男に向かって、まっすぐな声を上げたのです」
「半ば呆れるように放たれたその一言は、鋭い刃のように、ホームの淀んだ空気を一瞬で切り裂きました。声をかけられた男は、まさか高校生に指摘されるとは思わなかったのでしょう。驚きと当惑が混じった表情で一瞬固まっていました。そして彼は急に我に返ったかのように、さっと列から外れました。何も言い返さず、恥ずかしそうに顔を伏せて、どこかへ行ってしまいました」
「よくぞ言ってくれた! この一幕を目撃した私は、スカッとした爽快感を覚えました。周囲の大人たちが誰も指摘できなかったことを、彼はたった一言の勇気で正したのです。同じ大人に注意されるよりも『大人なんだから』と、うんと年下の高校生に注意されると、威力が増しますよね。見事、割り込みおじさんにクリーンヒットしていました」
駅や電車での
割り込みは厳禁
若きヒーローの登場で、そのあとはみんなが平和に電車に乗り込むことができたようです。
あえて解説するまでもないですが、駅や電車での「割り込み」は厳禁です。特に帰りの電車は、誰もが疲れている中で列に並ぶので、秩序がとても大事にされる場面です。それを無視し「自分だけが早く」と行動することは、周囲への思いやりが欠けている証拠。
少しでもイライラをなくすためには、それぞれが思いやりを持つことが欠かせません。

※鉄道トレンド総研に寄せられた声を元に再構成しています。