結婚はなぜ金持ちのものになりつつあるのかIllustration: Rachel Mendelson/WSJ, Pixelsquid, iStock (2)

 かつて結婚は愛の前に金の問題だった。

 結婚制度は何世紀もの間、ロマンチックな契約というより経済的な契約として機能していた。カップルになったほうが経済的な成功と安定を達成する確率が高くなる見込みがあった。

 近年はこの筋書きがひっくり返っている。経済的な安定はもはや、結婚後に達成する目標ではなく、むしろ結婚の前提条件だと、若い米国人は口をそろえる。

 2月に結婚したライアン・ドナさんとアマンダさんにとって、結婚はそれぞれの人生がより安定した段階に入ったことを友人や家族に知らせる手段だった。

「結婚して過去数年のむちゃくちゃな時期が終わった」。市場調査の営業職で修士号を持つアマンダさん(32)はこう話した。ライアンさん(33)は保険の損害査定人だ。

 2人はそれぞれ、昇進やニューヨーク州ロングアイランドで家を共同で購入すること、犬を引き取ることなど結婚前に経済的な目標の多くを達成したと話す。

 2人がキャリアや富を築くのを待って結婚するという考え方は、「頂点(キャップストーン)」型の結婚モデルと呼ばれている。経済学者や人口統計学者によると、こうした考え方が、20代前半に結婚し、2人で働いて家を買ったり、貯金をしたり、出世したりしたかつての「土台(コーナーストーン)」型のモデルに取って代わった。

「人々は結婚前に教育面でも仕事の面でもある程度の成功を収めている」。バージニア大学の社会学教授で、保守系シンクタンク「インスティテュート・フォー・ファミリー・スタディーズ(IFS)」の研究員を務めるブラッド・ウィルコックス氏はこう話す。