そして、思考にとらわれなくなり、思考を落ち着かせてやり過ごすことができるようになります。労力はほとんどいりません。純粋に「今、ここ」に心を置くだけでいいのです。

ストレスや不安だらけなのは
あなたの思考が頭を濁らせるから

 ではここで、私のメンターの1人から教わった、この概念を説明するたとえ話を紹介しましょう。次の質問に答えてください。

Q.汚く濁った泥水の入ったボウルを私があなたに渡すところを想像してください。その水を澄んだ状態にするようにお伝えしたら、あなたはどうしますか?

 先に進む前に、15秒かけてどんな答えが思い浮かぶか確かめてください。

 ほとんどの人は、水をろ過したり煮沸したりといった方法を口にします。泥水の入ったボウルをしばらく放っておくと、泥が自然に水の底に沈み始め、やがて水が自然と澄んでくることに、大半の人が気づきません。

 私たちの頭の働き方もこれと同じです。

「ろ過」や「煮沸」を試みて思考を乱すのではなく、そのまま放っておけば、思考は自然に落ち着いて、私たちの頭は思考から解放されます。

 水の自然な状態は澄んでおり、私たちの頭の中の自然な状態も、自分で乱さない限り澄んでいるのです。

 人生が不透明で混乱し、ストレスに満ちていると感じ、次に何をすべきかわからない場合、それはあなたの思考が泥をかき回して頭の中を濁らせ、前を見えづらくさせているからにすぎないことがもうおわかりでしょう。

 あなたはこの状態を、自分が考えすぎていることに気づくための指標として用いることができます。

 自分が考えていることしか感じられず、考えることが不快な経験の根本原因であることを意識すれば、その経験をあるがままに受け止めることができます。そして、干渉しないことによって思考を落ち着かせることができ、少しずつ頭の中を澄んだ状態に戻す方法がわかるようになります。