こんなの、明らかに別種よ!そうなれば、自動的に新種予備軍となる(1種しかいない属の2種目なのだから)。しかも、沖縄美ら海水族館のバックヤードには偶然にもクローバーカワリギンチャクもいたから、この形状の違いは、それと比較することにより、明確に判断できたわけだ。

新種発見に至るまでの
水族館の功績
そして、新種を報告する論文が、2019年月に発表された。筆者たち研究者と、沖縄美ら海水族館の深海コーナーのスタッフの共著である。そして同時に我々は、「水族館で、人知れず15年も飼われていた新種!」というセンセーショナルなプレスリリースを飛ばした。その結果、世間にチュラウミカワリギンチャクが広く知られるに至った(なんと、Yahoo!JAPANのトップニュースになったのだ!)。
当然、チュラウミカワリギンチャクは15年飼育されていた予備水槽から、展示水槽の良いところまで大出世!ニュースで知って見に来るお客さまもいて、一躍深海コーナーの名物となった。現在でも深海コーナーの大水槽に展示され、沖縄美ら海水族館を、そして沖縄を代表するイソギンチャクになっていて、研究者冥利に尽きるところである。

繰り返すが、これは水族館が15年間も、“よく分からない”イソギンチャクを維持してくれていたからこそ、成し遂げられた成果なのだ。まずバックヤードが充実していなければ成しえなかったし、彼らが謎のイソギンチャクの餌を突き止めていたからでもある。
さらに言えば、“謎のイソギンチャク”に違和感を覚え、我々研究者にオファーをくれたことで始まった研究であることも忘れてはならない。こうしてみると、水族館はなかなかに神がかった施設なのだ。
ということで、1ページ目のクイズの答えは……。
1種目:チュラウミカワリギンチャク(1)~(3)
2種目:クローバーカワリギンチャク(4)(5)
3種目:セイタカカワリギンチャク(6)
3種でした!