ためらわず、本に直接文字を書き込もう

 再読を始めるときに重要なのは、「必ずアウトプットする」という気持ちを持つことです。ブログにまとめる、友人に話す、SNSで発信する。形式は問いませんが、アウトプットを前提に読むと脳のスイッチが切り替わり、情報をより深く記憶しようと働きます。

 その際にはペンや付箋、マーカーを使いながら読むと効果的です。本に直接書き込み、線を引き、余白に気づきを残す。こうした行為は脳を刺激し、情報を「これは覚えるべきものだ」と認識させます。

本に直接書き込み、線を引き、余白に気づきを残す。Photo:PIXTA

 書き込みは自分との対話でもあります。「この考え方は自分の仕事に使えそうだ」と余白に書き残せば、その知識は単なる情報から行動のヒントへと変わります。また、後から読み返したときに過去の自分の思考に出会えるのも大きな財産です。

 本はインテリアではなく、活用するためにあります。線や書き込みでいっぱいになった本は「使い込まれた証」であり、自分の人生の一部になった証でもあります。抵抗がある場合はノートやアプリにメモを残すだけでも構いませんが、ぜひ一冊は「書き込む本」を持ってみてください。

 読み終えたら、書き込んだ部分だけを見返し、アウトプットにまとめます。その発信を通じて記憶は自分のものとなり、時間をおいて熟成されることでさらに価値ある知識へと進化します。

終わりに

 フレームワークリーディングは、読書をただの情報収集で終わらせず、記憶と行動へとつなげる方法です。学習や資格試験、ビジネスや研究など、さまざまな場面で応用できる実践的な読書法といえるでしょう。

 情報があふれる今の時代だからこそ、読書の質を高めることが、学びの深さや成果の大きさを左右します。本稿で紹介したのは、その一端にすぎません。具体的な実践やトレーニングについては、別の機会に改めてお伝えしましょう。

(本原稿は、動画「50歳でも記憶力はアップ! 加齢に勝てる脳トレ法」の一部を要約したものです)