小4までは「得意一点突破」が最強の戦略

 たとえば計算が苦手な子の保護者で「地頭がよければ計算が速いはずだ」と考える人は、「計算が遅い=地頭が悪い=算数ができない」と短絡的に結びつけてしまいがちです。

 ところが実際には、算数は得意でも計算が苦手な子もいます。あるいは、計算が遅く、算数全般も苦手だけれど、文章を読むのが得意な子もいるでしょう。 

 私は、特に小学校4年ぐらいまでは、子どもがなにかひとつでも得意なものがあれば、ひたすらそれを伸ばすことにフォーカスすると、最終的に総合的な偏差値も上がると考えています。

「うちの子は地頭が悪い」と嘆く保護者は多いのですが、本当に得意なものは何もないのでしょうか。できるものはあるけれど、そのできるものを保護者が重要視していないだけではないでしょうか。

 保護者がすべきことは、地頭という便利な言葉で一括りにしてしまう前に、子どもの中に必ずある、得意なジャンルを細分化して見つけてあげることです。

 国算理社という科目でくくれるものでなくても構いません。例えば、暗記が得意、昆虫に詳しい、英語の歌を喜々として覚える……何でもいいのです。そして、その得意なことを徹底的に伸ばすように応援する。

 得意なことは、たとえば、学科に置き換えたときに、すべての学科をオールマイティに伸ばせるものではないかもしれません。しかし、何かひとつでも得意なこと、子どもが自信を持てるものがあることこそが重要で、それがのちの学習意欲に大きくつながり、結果的に総合的な偏差値を引き上げることにもなります。

 最近の中学受験についてよくない傾向だと思うのは、保護者が早い段階から4科目の総合偏差値と、その総合偏差値を元にした塾でのクラス分けにとらわれすぎているということです。

 少しでもいいクラスに入れたいという保護者の気持ちが前提にあると、子どもに苦手科目を無理やり「頑張らせる」という状況が生まれてしまいます。その結果、せっかくの得意科目を伸ばす時間がなくなってしまう。なんともったいないことでしょう。