学校選びで迷ったら、まずは「レベル帯」を考えよう

 では、共学か別学かをどうやって選べばいいのでしょうか。その前に、ひとつ意識しておくべきなのは、「レベル帯」です。学校選びでは、共学か別学か以上に、偏差値のレベル帯による校風の違いが大きいと私は感じています。

 たとえば、最難関校のように、成功体験を積んできて入学する子が多い学校では、先生たちはそういう子の自信をうまくコントロールして、より能力を伸ばしつつ、思い上がらせない術を持っています。また、これまでトップだったのに、勉強ができるのは当たり前という環境の変化に戸惑う子に対する適切な教育アプローチにも長けています。

 一方で、どちらかというと受験で苦しい思いをして入ってきた子が多い学校では、先生たちは、子に自己肯定感を持ってもらうため、実にさまざまな工夫をしています。

 中堅校は、特に複雑で、第一希望で意気揚々と入学してきた子と、別の難関校を目指していて、「第四希望」くらいで、入学してきた子が混在しているのが普通ですが、先生たちはもちろんそのこともよく心得ていて、どちらも「置いてけぼり」にさせない、実にきめ細やかな指導をします。

 それぞれの学校ごとに、長年の経験により、毎年来る子どもたちの属性をよく把握し、それに合わせた教育を行っているのです。

 この違いを踏まえたうえで、たとえば、小学校時代に、子どもの個性がはっきりと分からない場合は、別学に入れることで、より個性がはっきりしてくる可能性があります。

 逆に、既に個性が明確で、それを自覚している子どもの場合は、共学で社会性を身につけさせるという選択肢もあります。さらには、際立った個性があり、それをさらにのびのびと発揮させたいという意向で別学に入れるという選択肢もあります。

 男子校は一般に女子校よりも過保護な面があり、精神的に幼さの残る男子の扱いが上手です。保護者との距離感が難しい中1・中2の反抗期にも、生徒にうまく介入し、高校生になった時の手の離し方も絶妙です。たとえば、先生からの小言の量を学年に応じて減らしたり、宿題のチェックを毎日から週に数回にしたりするなど、段階的に自立を促します。

 女子校の場合は、中1・中2の段階から既に自立している子が多いため、先生たちがあまりかいがいしく世話を焼くよりも、一定の距離を保って見守る指導が多いようです。