冷蔵庫といっても野菜室はNG。卵の殻には気孔という細かな穴があり、にんにくやタマネギのような匂いの強い野菜と一緒にしておくと、匂いがうつってしまうからです。

 卵を割ると新鮮な卵は黄身がしっかりとして、卵白は水っぽい部分(水様卵白)が少なく、皿に広がりません。

 目玉焼きをつくるときにはこの性質が役に立ちます。

 卵の黄身と白身は凝固温度が異なり、ざっくりいうと卵黄は65℃~70℃で、卵白は60℃~80℃で凝固します。

 卵白にはしっかりと火が通り、黄身はなめらかさを保った状態に加熱するには、先に卵白に火を通す必要があるので、新鮮な卵を使えば卵黄が盛り上がったままで、白身が流れたりせず、きれいな目玉焼きになるのです。

フライパンの温度は
水で確かめられる

 目玉焼きは弱火で加熱するのがセオリー。弱火というと表面温度は120℃~140℃くらいで、ジャガイモやレンコンなどの根菜、大きな肉の塊を焼く場合に使う火加減です。

 ゆっくりと火が通る安全運転なので、初心者にも安心ですが、弱点もあります。水分が多い素材を入れると表面温度が下がり、100℃前後になってしまうと食材から出た水分で煮る状態になるので、焦げ目がつかなかったり、なかなか火が通らなかったりするのです。

 料理によって強火で焦げ目をつけた後、弱火で火を通したり、逆に弱火で焼いた後、表面を強火であぶったりするなどの調理工程が出てくるのはこのため。

 料理本で強火、中火、弱火の使い分けについてあまり詳しく書いてないのは、鍋の違いやコンロの火力、素材の水分量などの変数が多く、説明しきれないからです。

 弱火や中火でもフライパンを火にかけ続ければ強火と同じくらい表面温度は上昇しますし、逆に水分の多い具材をたくさん投入すれば、煮ているのと同じ状態になってしまいます。

 温度は目には見えません。料理に慣れている人は手をかざしたり、表面から立ちのぼる蒸気や油煙、食材の様子などから温度を判断しますが、予熱してから小さじ1/2程度の水を入れることでも把握できます。

 フライパンの温度が100℃だと気泡はすぐにできませんが、150℃で小さい気泡ができ、180℃で大きな泡が立ちます。200℃だと水を入れるとすぐに沸きたって、表面をすべりはじめ、250℃近くなると水が蒸発せず、そのままの形で転がるでしょう。