フライパンの表面温度は経験を積まないとなかなかわかりませんが、最近は温度計つきのフライパンも販売されています。はじめはそういった課金アイテムを上手に使って、温度の感覚をつかんでいくのもよいかもしれません。

自分好みの「焼き方」を
目玉焼きで知ろう

 さて、目玉焼きの場合、白身に火を通しつつ、黄身はなめらかな状態を保ちたいもの。強火で加熱したり、蓋をして加熱したりすると白身に火が通った頃には黄身が固まってしまいます。

 安全に進めるなら弱火がベター。サラダ油をひいたフライパンを弱火にかければ、白身にしっかりと火が通り、黄身はなめらかという状態を達成しやすいからです。フライパンの表面温度が120℃前後の状態で3、4分も焼くと、白身がなめらかで黄身は黄金に輝く、美しい目玉焼きの出来上がり。

 弱火で焼く目玉焼きに慣れてきたら次は中火で白身に油をかけながら焼きましょう。そうすれば香ばしく焦げた白身を楽しめます。中火で15秒予熱したフライパン(表面温度は150℃が目安)にオリーブオイルを多めに入れ、卵を割り入れ、スプーンで白身の部分に油をかけながら、1分ほど底がカリカリになるまで焼くだけです。

 フライ返しを使ってキッチンペーパーを敷いたバットなどに移し、油を切り、皿に盛って、塩胡椒で味付けしたら出来上がり。上手に焼けた目玉焼きを炊きたてのごはんにのせて、しょう油を少し垂らすとこたえられないおいしさです。

 サラダ油をひいたフライパンを中火に熱し、卵を割り入れ、弱火に落とし、蓋をして2分~2分30秒ほど蒸し焼きにすると、黄身の表面にうっすらと白い膜が張ったような状態の目玉焼きができます。これは焼く(伝導熱)+蒸す(対流熱)の合わせ技です。水を加えなくても卵自体の水分が蒸気になって、フライパンの蓋のなかで対流し、フライパンに接していない部分も効率的に加熱できます。黄身にしっかりと火が通った仕上がりが好き、という方にはおすすめの方法です。

 目玉焼き一つとっても加熱方法を変えることで、食材は大きく表情を変えます。一つの食材の持ち味を損ねずに、違った魅力を引き出すこと。それが料理の本質なのです。