
大人の毎日は「選択」の連続です。ピンチをチャンスに変えるには、どうすればいいのか。高い評価や人望や信頼をたくさん得られるのは、どっちの選択肢か。微妙な状況への立ち向かい方を通じて、より大きな幸せをつかめる「トク」な道を探りましょう。(コラムニスト 石原壮一郎)
今回の「お悩み」
上司と取引先を訪問後、そば屋に入った。「息子さん、中学生だっけ。家族でそば屋に行ったりするの?」と聞かれたので、「うちの子、そばアレルギーなんです」と答えた。
すると上司は「好き嫌いは直してあげなきゃ」と発言。アレルギーの深刻さをまったく理解していないようだ。適当に話を合わせるか、説明するか。さて、どうする?
選択のポイント
ひと昔前ならさておき、さすがに昨今は、この上司のような認識の人は絶滅危惧種でしょう。ただ、世の中には自分の常識や想像を超えた人はいます。食べ物に関するアレルギーは命に係わる深刻な問題であり、本人の努力や心がけではどうにもなりません。
いまだに食物アレルギーを好き嫌いの問題と思い込んでいる上司に、「それは違います」と説明しても、すんなり理解してもらえる可能性は低そうです。
「わかったわかった」とうるさがられるのが関の山で、もの知らず扱いするなと逆ギレされるかもしれません(ま、十二分にもの知らずなんですけどね)。
反論せず「ご心配ありがとうございます」などと適当に話を合わせておけば、その場の平和は保たれます。しかし、上司のご機嫌を損ないたくないからといって、言うべきことも言えない父親になってしまったら、息子に合わせる顔がありません。
ケンカ腰になる必要はありませんが、静かな口調で「食物アレルギーは好き嫌いの話ではなく、命に関わる深刻な問題なんです」とキッパリ告げましょう。
上司の頭の片隅に今日のやり取りの記憶が残って、ちゃんとした知識を得たときに「あの時は、あいつに悪いこと言っちゃったな」と思ってくれる日が来ることを信じて。