許諾が事後的なものであったからである。モデルにされた本人が気づいて連絡しなければ対応されなかったのであろうにもかかわらず、悪びれず告知するのはいかがなものか、というのが主な批判である。
ルミネ荻窪は事態を受けて「必要な確認が完了するまでの間、該当ビジュアルを一時的に撤去」すると発表した。実際に撤去された画像をXに投稿しているユーザーも見られる。
ルミネ荻窪がイラスト使用中止を決定
関係企業も素早い対応
しかし事態はこれで収まらなかった。SNS上で相次いで同様のケースが見つかったからである。江口氏が広告宣伝用に描いた複数のイラストが検証され、モデルにしたと思われるビジュアルが次々と見つかったのだ。
これまでに指摘のあったデニーズ、Zoff、クレディセゾンが制作過程について事実確認中とするコメントを発表している。
そしてさらに6日午後になって、ルミネ荻窪が、該当ビジュアルを今後一切使わないことを発表した。「制作過程に問題があったことを重く受け止め」とある。
ネット上での炎上については、企業の対応が早い場合とそうでないケースがある。今回は発端が金曜日の午後で土日を挟んだにもかかわらず、各企業の対応がかなり早かったと言える。
これはおそらく、告知ビジュアル制作にあたってのモデル肖像権やフォトグラファーの著作権といった法的権利にわかりやすく触れる問題であり、使われた側のモデルから直接声が上がったからだろう(金井さん以外にも、自分のビジュアルを使われたことをXで明らかにした男性モデルがいた)。
炎上は倫理的な問題から発生するケースも多いが、今回の場合は法的権利という判断の基準が明確だった。ルミネの対応が早かったことも、他の企業が対応せざるを得ない理由となったかもしれない。
また、これまでも「トレパク」騒動はネット上でしばしば問題になっていた。
「トレパク」とは、「トレース」と「パクリ」から成る造語。「トレース」は、元となる絵や写真からトレース紙などを使って線をそのままなぞって絵を写すことで、横に置いた手本を見ながら描く模写とは異なる。