まず、日帰り客から宿泊客に変わってもらうには、どうしたらいいのか。

ホテルの供給は十分ではない
関空特急が延伸する「山科駅」に期待

 京都市の統計によるとホテル・旅館客室数は15年が2万6297室だったのに対し、23年は4万2678室と約1.6倍に増加している。それでも市内ホテルの平均稼働率は8~9割、宿泊費も高く、例えば4月の市内主要ホテルの平均客室単価は3万640円だった(京都市観光協会、3万円を超えるのは統計開始以来初)。いまだ供給は十分とは言い難い。

 都市景観を考慮すると市内中心に建設するのは容易ではなく、少し離れたエリアで分散目的も兼ねてホテル誘致がもっと進んでほしいものだ。

 特に、JRの関空特急「はるか」全列車の延伸が決まった「山科駅周辺」には、かなり期待できる。山科なら京都市営地下鉄東西線を使い東山や二条城にも出やすく、京都駅周辺の混雑改善にもつながる。

 また、実は意外と近い滋賀県の大津市や草津市などの宿を活用する手もある。この場合、京都に宿泊費は落ちないが、分散と混雑緩和には大いに役立つだろう。名付けるなら「隣の滋賀にも協力してもらう作戦」だ。

 ただし、宿の整備を進めるには人材確保がネックになる。ホテルという箱だけどんどん造ればいいわけでもない。京都の宿泊業全体の競争力を高めていく必要があるだろう。

新たな交通インフラ整備は必至
JR嵯峨野線の車両は安全に不安も

 次に、交通インフラ不足を、どうやって解消するか。1979年の市電廃止後、地下鉄烏丸線と地下鉄東西線の開業はあったものの、観光名所へのアクセスは依然としてバスやタクシーなどの道路交通に依存している。鉄道も、現在の観光客急増に応えきれていない。