日本人の京都離れ、紅葉シーズンに加速か?外国人のオーバーツーリズムを解決に導く2つの提案写真はイメージです Photo:PIXTA

インバウンドの増加によるオーバーツーリズムが問題視される中、日本人の「京都離れ」が加速する気配だ。「都道府県別 訪日外国人消費単価ランキング」を見ると、京都があまりに不憫というか、気の毒だと思う衝撃的な事実が浮き彫りになった。問題解決の糸口はないのか。宿泊と交通というインフラ面を中心に考えてみたい。(ライター 前林広樹)

なぜ京都はオーバーツーリズムに悩むのか
日本人の京都離れ、紅葉シーズンに加速か

 日本人の京都離れが止まらない。訪日外国人観光客(インバウンド)の増加によるオーバーツーリズムが問題視される中、清水寺など主要観光地を避けたり、京都を修学旅行先から外したりする動きが出ているという。

 京都市によると2024年の秋(11月1日~12月15日)に市内主要観光地周辺を訪れた人は、昨年のほぼ同時期と比較して外国人が約30%増加する一方、日本人は約15%も減少した。とりわけ北野天満宮は外国人が約42%増に対し、日本人は約42%減。伏見稲荷大社は外国人が約46%増に対し、日本人が約23%減という結果に。25年の紅葉シーズン、こうした傾向がいっそう進む可能性は高い。

 また、一部の外国人旅行者によるマナーが悪く、地元住民の生活に悪影響を与えていることがしばしばニュースになる。これを見聞きして強い嫌悪感を覚え、SNSに差別的な投稿をする人も少なくない。なぜ京都のオーバーツーリズムは発生し、問題視されやすいのか。解決の糸口はないのか。

 実は、突き詰めて端的にまとめると3つに集約できる。(1)京都観光は客単価が低い日帰り客の割合が多い(2)交通が混む構造問題がある(3)観光で生まれた利益が市民に還元されていない。

 京都市によると24年の観光客数は約5606万人もいるが、そのうち宿泊客数は約1630万人と3割程度しかいない。一般的に、日帰り客が現地で使うおカネは昼食代や交通費、拝観料くらいにとどまるため、宿泊客に比べて客単価が3分の1ほどにしかならないと言われている。

 こうした実態を示唆する、観光庁の統計を基に訪日ラボがまとめた「都道府県別 訪日外国人消費単価ランキング」を見てみよう。京都があまりにも不憫というか、気の毒だなと思う興味深い事実が分かる。