(2) 新卒の応募数が3倍に伸びた医療法人
新潟県新潟市にある桑名病院(社会医療法人 桑名恵風会)は、188床を有する地域の中核病院。24時間体制で急性期医療を担い、救急患者は年間2000件以上。地域住民にとって欠かせない存在です。
しかし同院も全国的な課題である看護師不足に直面していました。新卒採用を行っても定員割れが続き、さらに直近5年間の退職率は約2割。「採用ができない」「採用できても定着しない」という慢性的な人手不足に悩まされていました。
そこで、「ほめる教育」を導入することに。まず、「何をすればほめるのか」という基準を明確に設定しました。その基準に合う行動はほめ、そうでなければほめないというルールを徹底したのです。
取り組みを進める中で、職員がその基準に沿って行動できているかを確認するためのシートも活用しました。同シートには、本人と上司が振り返りを記録し、成果や成長を“見える化”します。すると、本人なりに自分の立ち位置を把握することができますし、上司からの承認によって意欲も高まるというメリットも期待できます。
さらに、同シートをもとに「ほめる面談」も実施しました。上司は、頑張っている“ほめポイント”を伝えた上で、次に向けての期待も伝えます。
こうして、ほめられる機会が増えると、職員同士も自然と互いを認め合うようになりました。その結果、病棟の雰囲気は明るくなり、若手からは「先輩がよく教えてくれる」、患者からは「雰囲気が変わった」との声も。看護学校からの評価も向上し、毎年定員割れが続いていた新卒の応募者数が2年で3倍以上に増えました。
加えて、上司と部下の1on1の対話機会が増えたことで悩みを早期に共有でき、退職率も徐々に低下。現在では看護部だけでなくリハビリ職にも取り組みを広げ、定着率と採用力の向上を同時に進めています。