続いて、仕事の場面の例で考えてみましょう。
例えば、UX(ユーザーエクスペリエンス)について議論をするという場面で
「このボタンの位置って、もうちょっと右の方がいいんじゃない?」
などの話をされた場合は、“幹”から離れた“枝葉”の議論になってしまいます。
こういう場合は
「ありがとうございます。確かにユーザーから見て、押しやすい位置にあることが大切ですね。そういう“使いやすさ”を考えるにあたり、ユーザーがどういう体験をしたいのか、あるいは、われわれがユーザーにどういう体験をしてほしいのかについて、もう少し深めさせてください」
などというように返します。
「しかし」「ですが」ではなく
「その上で」「さらに」を使う
大事なのは、最初にしっかり、お礼や感謝の意を示すことです。
この一言は、相手に対して敬意を払うこと、リスペクトを持つことを意味します。
心がこもっていない形式的なものでもテクニック的にはかまわないのですが、本来、議論の場で意見を言ってくれる方には、リスペクトを持つべきです。議論が盛り上がること自体は、悪いことではありません。
また、否定語を極力使わないことも、非常に効果的なやり方です。
「しかし」や「ですが」などの言葉を使うと、相手は、「否定された」と感じて警戒します。
「その上で」や「さらに」などの、「相手の話を受け止めて、そこに乗せていく」ような言葉を使うことが望ましいです。
そういうポジティブな言葉がうまく見つからないときは、いっそ、接続詞を使わない、ということも視野に入れましょう(先ほどの例は、接続詞をあえて省いています)。
このように、
・相手に感謝を示す
・全体のトピックとの関係性を明確にする
・相手の意見も踏まえて、議論を前に進める
というポイントを意識してみると、会議の運営がより良いものになると思います。
ぜひ、トライしてみてください。