イギリスの圧政に民衆の怒り爆発! インド独立の引き金となった“塩の行進”の知られざる真相
【悩んだら歴史に相談せよ!】好評を博した『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)の著者で、歴史に精通した経営コンサルタントが、今度は舞台を世界へと広げた。新刊『リーダーは世界史に学べ』(ダイヤモンド社)では、チャーチル、ナポレオン、ガンディー、孔明、ダ・ヴィンチなど、世界史に名を刻む35人の言葉を手がかりに、現代のビジネスリーダーが身につけるべき「決断力」「洞察力」「育成力」「人間力」「健康力」と5つの力を磨く方法を解説。監修は、世界史研究の第一人者である東京大学・羽田 正名誉教授。最新の「グローバル・ヒストリー」の視点を踏まえ、従来の枠にとらわれないリーダー像を提示する。どのエピソードも数分で読める構成ながら、「正論が通じない相手への対応法」「部下の才能を見抜き、育てる術」「孤立したときに持つべき覚悟」など、現場で直面する課題に直結する解決策が満載。まるで歴史上の偉人たちが直接語りかけてくるかのような実用性と説得力にあふれた“リーダーのための知恵の宝庫”だ。
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インド独立というビジョンに
つながった「塩の行進」
静かなる始まり
1930年3月12日、ガンディーはアフマダーバード郊外のサバルマティ・アーシュラムを出発。
同行したのは、わずか79人の同志たちでした。
民衆という名の潮流
しかし、約388kmを25日間かけて歩く間に、彼らの列には次々と人々が加わり、その数は最終的に1万2000人以上にまで膨れ上がります。
明確な目的、平和的な姿勢、そしてガンディーの存在が、人々の心を突き動かしたのです。
歴史を動かした、一握りの塩
4月6日、行進の最終目的地ダーンディーに到着したガンディーは、静かに海へと歩み寄り、海岸で塩のかたまりを拾いました。
その瞬間、彼は空に向けて高々と塩を掲げ、植民地支配への非暴力的抵抗の象徴としたのです。
魂の解放を叫ぶ声
その光景を目の当たりにした群衆からは、「マハトマ万歳! スワラージ(独立)万歳!」という歓声がわき起こりました。
この行動は、塩税法を破るという単なる法律違反ではなく、国家の尊厳をとり戻すという意思表明でした。
なぜ「塩」だったのか?
ガンディーが抵抗の象徴に「塩」を選んだのは、それが生命維持に不可欠でありながら、イギリスの法律によって誰もが製造・販売を禁じられ、高額な税金を課せられていたからです。
貧富を問わず、全ての人々の生活を圧迫するこの不平等な税は、植民地支配の最も分かりやすい象徴でした。
世界に広がった波紋
この「塩の行進」は、インド全土に燎原の火のごとく広がり、各地で塩が作られ、不買運動が巻き起こりました。
イギリス政府はガンディーを含む数万人を投獄しましたが、運動の勢いを止めることはできませんでした。この出来事は世界中のメディアで報じられ、インド独立への国際的な同情と支持を集める大きなきっかけとなったのです。
現代に続く「非暴力」の力
武器ではなく、自らの信念と行動で巨大な権力に立ち向かう。塩の行進は、非暴力不服従という抵抗がいかに力強いものであるかを証明しました。
その精神は、後のマーティン・ルーサー・キング・ジュニアの公民権運動など、世界中の多くの社会変革運動に受け継がれています。
※本稿は『リーダーは世界史に学べ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。















