つまり、「びっくりするほど美味しいピザ」というとっておきの言葉が、相手の心を揺さぶり、下手をすると「NO」が来るところを「YES」に変えるのです。

 Cの場合、相手は何が好きか、今の空腹具合はどうか、相手の置かれた状況や心の中を想像したうえで、デートしたいあなたと、「びっくりするほど美味しいピザ」が食べたい相手、双方をWin‐Winにする情報を提示しています。

「アメリカから初上陸で大人気のパンケーキ屋さん、今なら空いているけど、一緒にどう?」

 と言われれば、行きたくなりますし、「この商品、現品限りです」と言われると、売れ残り感が強くなりますが、「大人気でこれが最後の一台です」と言われると買いたくなるものです。要は、相手の心を揺さぶる、とっておきの言葉が含まれているかどうかです。

 相手をその気にさせる、とっておきの表現の例をあげておきます。

● 「御社と一緒にプロジェクトを進めるうえで、弊社にピカイチの社員がいるんですよ」
● 「一度やっておくと、流れが完璧に頭に入ります、次から簡単にできるようになります」
● 「やる気のある仲間が待っています。ご一緒しませんか?」
● 「今までの自分でいるのと、一歩踏み出して違った自分を発見するのとどちらがいいですか?」

 いずれも、「どうしようかな」と逡巡(しゅんじゅん)している相手の気持ちを前向きにし、ポンと背中を押すフレーズです。

【決めの一言】
「びっくりするほど美味しい」「最後の一台」「食べないと損、買わないと損」、という一押しが相手を突き動かす。

三流は「少しお待ちください」、二流は「すぐにお持ちします」
一流は「出来たてをお持ちします」

 相手からの「NO」を「YES」に変える言葉として、デートを例に、「デートしませんか?」ではなく、「びっくりするほど美味しいピザのお店に行きませんか?」に言い換えましょうと述べました。

 ビジネスシーンでは、アポイントを取るなどの際、「たぶん『NO』が来るだろうな」と思う状況は多々あります。しかし、話の持っていき方によっては、誰もが予想した「NO」が「YES」に変わることも多いのです。次の例を見てください。