「コーヒーまだ来ないんだけど」
A「すみません、もう少しお待ちください」
B「すみません、すぐにお持ちいたします」
C「申し訳ございません。今、挽きたてのものをご用意しておりますので」
これは、国際線の旅客機で、客がキャビンアテンダントにコーヒーを注文し、待たされている場面です。
Aであれば、待たされている乗客としては「もういいよ」と言いたくなるかもしれません。Bであれば、気分を害しながらも「もう少しだけ待とう」という気持ちになるはずです。
では、Cはどうでしょう。
私なら、それまで抱いていた「待たされた」という不満は消え、「挽きたての美味しいコーヒーが飲めるならそっちのほうがいい」と、むしろ嬉しくなります。
つまり、「挽きたてのコーヒー」というメリットをイメージさせたことで、ネガティブな行動を取るところがポジティブな思考に変わったわけです。これは、「びっくりするほど美味しいピザ」や「南仏料理の人気店」という言葉を使った口説き文句と同じ効果です。
私が実践してきた例を挙げてみます。
A「この番組は○○をコンセプトにしたワイド番組です」
B「この番組は自由に語っていただく時間がたっぷりあります」
C「この番組は自由に語っていただく時間があり、先生の著書もご紹介できます」
誰か著名人に出演交渉した場合、言うまでもなく、単に番組の概要を説明しただけのAよりもB、BよりもCのほうが「YES」をもらえる確率が高くなります。
それは相手の頭の中に、
「喋(しゃべ)る長さと内容が厳しく制限されるテレビと違い、ラジオは自由に喋ることができる」
「最近出した本までPRしてもらえる」
という二つのメリットを思い描かせることができたからです。
「最新データ(出来たてのもの等でも可)をお持ちします」、相手は「待つ」ことへのメリットを感じてくれる。
三流は唐突で反発を招く、二流は遠回しに同意を求める、
一流は無意識に同意させてしまう
皆さんは、歓迎会や送別会などの幹事になった際、どこのお店にするか、いつ開催するか、悩んだ経験はありませんか。
「○月○日○時より、○○会をイタリアンレストラン『○○』にて開催します」
と発表するまでに、案外時間がかかるものです。それはなぜでしょうか。