地方を基盤に「何でもバロー」で成長
関西や関東への本格的な進出を開始

小池 当社グループは岐阜県恵那市が創業の地で、いわば地方を基盤に成長してきました。このエリアは、例えば名古屋などの大都市とは違い、卸の機能も弱く、調達に関するサービスが十分とは言えませんでした。ですから、例えば名古屋の卸売市場で購買した商品も、当時はここまで届けてもらえず、自分たちで取りに行くしかありませんでした。

 また、商業集積をつくり出そうにも、組む相手先がいないため、自分たちで何でもやる必要があったわけです。その地域の皆さんに対して「何でもバロー」という状態をつくり上げていく過程で、M&Aなどの手法も駆使してドラッグストアやホームセンターなど多角化も進みました。さらに、PB(プライベートブランド)の開発や製造・加工の内製化などを進める中で、より規模を拡大することによるマスメリットに重点を置くようになったわけです。

 ただ、今後の大きな課題は、人口動態の変化です。我々小売業は個人のお客様を相手にしている商売であり、どこに人口が集積しているかを抜きにして経営戦略は考えることはできません。そこで、これまでは基本的に東海・北陸を中心とした中部圏で事業を展開してきましたが、今後は「関西1000億円構想」「関東500億円構想」を掲げ、より人口が多い関西や関東への本格的な進出を開始しているところです。

「物流はコストセンターではなく、
プロフィットセンター」創業以来の精神

――物流についても外部委託をせず、物流センターの設計施工や運営も自前でやってきたことが、他の小売チェーンにない大きな特徴です。バローグループにとって「物流」とはどのような位置づけなのでしょうか。

小池 創業以来、一貫してぶれずに続いているのは「物流はコストセンターではなく、プロフィットセンターだ」という考え方です。「物流はコストである」という考え方に立ってしまえば、そこに投資するという経営判断は生まれません。逆に、物流を「利益を生み出す源泉」ととらえれば、そこに投資をして基盤を強化しようという発想になるわけです。

 さらに、利益を生み出すためには、外部に丸投げするのではなく、自分たちでできることとパートナーにお願いすることを上手に組み合わせることで利益を残していくという判断にもつながります。配送も店舗向けに運ぶだけではなく、その前の工程であるメーカーや卸からの集荷についても自社で手がけたらどうだろうかといったように、他の小売チェーンとは違った発想で物流を考えてきた経緯があります。

売上高1兆円も見えてきた!岐阜発のスーパー「バロー」が“自前主義”を貫くワケ小池 孝幸(こいけ・たかゆき)
1972年生まれ。岐阜県可児市出身。名古屋大学文学部卒業後、95年4月バロー(現バローHD)入社。社長室長、物流部長などを経て、2018年4月中部興産社長(現任)。19年6月バローHD取締役、23年6月バローHD社長に就任(現任)
図表:川上にさかのぼるバローのビジネスモデルバローのビジネスモネル。川上から川下までのプロセスで内製化に取り組む
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