小池 そこは今後の大きな検討課題です。最近の建築コストや人件費の高騰を考えると、自分たちで投資したものを長い時間をかけて回収・償却していく手法が難しい時代になってきたことは事実です。これまでは自前の土地、施設、人員にこだわってきましたが、これからはすべてを自分たちで抱える時代ではなく、施設の賃借やパートナーとのアライアンスなど多様な手法を柔軟に組み合わせていく必要があります。
ただ、当社には長年、自分たちで物流を運営してきたノウハウや知見が蓄積されていますので、単なる物流業務の丸投げという形にはなりませんし、するつもりもありません。仮に外部委託を活用するにしても、当社なりの手法を入れていくことになるでしょう。
また、物流拠点の機能についても検討していきます。例えば、今まではスーパーマーケット専用のセンターだったものを、ドラッグストアとの両方に対応したマルチタスク型の物流センターに整備するなどです。小売業界では店舗のボーダーレス化が進展しており、物流拠点についても垣根を取り払った汎用型のセンターを志向していく必要があります。

M&Aも駆使
物流子会社は「ポテンシャルの塊」
――物流子会社の中部興産について伺います。2024年4月に石川県に本社がある鷺富運送を子会社化しました。
小池 鷺富運送は、メーカーから出荷される商品を卸まで配送するのが主な事業領域で、チルドなどの温度管理物流を得意としています。一方、中部興産は一部で集荷業務を手がけてはいるものの、基本的には自社物流センターの運営とセンターから店舗までの配送が中心であり、両社を組み合わせることで川上から川下までを一貫して俯瞰し、モデル化できる機能が揃うことになりました。
今後は、バローグループとして、物流に課題や困り事を抱えている食品をはじめとする中小メーカーの物流合理化に貢献するとともに、メーカーから店舗までのサプライチェーンの効率化にも挑戦していきます。我々には小売企業としてサプライチェーンの最終出口である「商品を売る力」があります。だからこそ、当社がイニシアティブをとり、物流全体をコーディネートすることができると考えています。
――その戦略を進めることが中部興産の外販拡大につながるということですね。