小池 さらに拡大していきます。バローグループの物流だけで固定費を負担するよりは、他社の商品を一緒に運ぶほうがコストメリットは上がりますし、物流機能をシェアすることで関係者すべてがWIN―WINになります。物流というリソースの有効活用を目指すフィジカルインターネットの考え方にも沿うものです。

 実は、中部興産のトラックが競合である小売の店舗納品を行っている事例はすでにあります。以前では考えられなかったことですが、各社がドライバー不足の深刻化で輸送力の確保に困っている状況にあり、多くの企業がこだわりを捨て、実利をとるようになっています。こうした取り組みは今後も拡大していけると確信しています。

 また、中小メーカーの物流を受託する場合も、バローグループ向けの商品の引き取りだけでなく、物流全体を丸ごと請け負うことでメーカーが抱える困り事の解決につながらなければ意味がありません。今後はそうした取り組みを広げていけるよう、さらに力をつけていきたいと思っています。

――中部興産は物流事業者として大きな成長の可能性を秘めているように思います。

小池 現在の売上高は230億円程度ですが、おっしゃる通り、ポテンシャルの塊だと思っています。物流子会社としてバローグループの物流効率化に貢献していく一方で、今後は事業会社として世に送り出していきます。

 中部興産は、物流インフラに設計施工、庫内運営の仕組みづくりやマテハンの導入についても社員がCADで設計図を引くなど、ほぼすべて自前でやってきましたが、そのやり方は間違いではなかったと思います。M&Aをした小売企業の物流を分析し、我々が培ってきたノウハウを活かして効率化を進めた結果、物流部門で大幅な利益改善を達成する事例が数多く出てきています。

 自分たちが時間をかけて磨いてきた物流手法が正しかったのだと再認識しており、自信を持って事業拡大にチャレンジしていきます。また、物流業界の様々な方々と連携していくことで、この業界の面白さをもっと追求していきたいと思っています。

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