ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の「宅配便」競争、個数は苦戦も単価アップに成功したのは?佐川急便は観光・レジャー市場に注力 写真:カーゴニュース

2024年度の宅配便大手3社(ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便)の取扱個数の合計は前年度比1.9%増の47億1800万個となり、前年割れとなった23年度から一転、増加に転じた。24年度の市場全体の取扱個数はまだ明らかになっていないが、3社で95.1%(23年度実績)の占有率を占めているため、市場全体でも伸びに転じることが予想される。25年度に入っても3社の取扱個数は増加基調で推移しているが、6月末に日本郵便の一般貨物自動車運送事業の認可が取り消される事態が発生し、今後のゆうパック事業への影響が予想される。また、国土交通省は現在、「置き配」を標準サービスに位置づける方向で検討を進めていると言われており、今後の宅配便市場に変化が起きる可能性がある。(カーゴニュース編集部)

*本記事はカーゴニュースからの転載です

ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便
24年度の宅配便は2年ぶりに増加

 まず、2024年度の大手3社の取扱個数を見ると、合計で47億1800万個となり、23年度比で1.9%増、個数ベースで約8900万個の増加となった。3社のうちヤマト運輸、日本郵便の2社は前年度実績を上回り、佐川急便は23年度の取扱個数を下回った。22年秋以降、インフレによる物価上昇などにより消費マインドが冷え込み、ECを中心に宅配需要の低迷が続いていたが、ようやく回復の兆しが見えてきた。

 各社の実績を見ていくと、ヤマト運輸は23億5200万個となり、前年度比2.5%増、前期から約5700万個の増加となった。主力3商品(宅急便、宅急便コンパクト、EAZY)の実績は前年度比4.0%増の19億6100万個と好調だった一方、投函型商品(ネコポス、クロネコゆうパケット)は日本郵便に配達を委託した影響もあり4.5%減の3億9100万個と低調だった。

 佐川急便の「飛脚宅配便」実績は12億7100万個、前年度比4.1%減、個数ベースで5400万個の減少。同社はここ数年、数量よりも単価を重視する方針を掲げており、22年度以降、3年連続で前年割れとなるなど、個数面では苦戦が続く。一方、平均単価は23年度から14円上昇の662円と大幅に改善するなど、戦略面では成果が出ている。

 3社の中で最も高い伸びを示したのが日本郵便。24年度は前年度比8.5%増の10億9500万個となり、個数では8600万個増加した。内訳を見ると、ゆうパックの取扱個数は2.1%増の5億5800万個となった一方、ポスト投函型のゆうパケットはヤマト運輸の委託分も寄与し、16.1%増の5億3700万個となり、伸びを大きくけん引した。