ろっ骨の下辺りを手で押さえて
肺を全方向に膨らませる

 意外と知られていないのですが、肺は360度全方向に膨らみます。息を吸うと肺が膨らみ、息を吐くと肺がしぼむわけですが、呼吸をするときに肺の前方は膨らむけれども、背面が膨らまず肩を上下させて肺を広げている人をよく見かけます。

 姿勢を正してろっ骨の下辺りを手で押さえ、背面の肺がしっかり膨らむような深呼吸を意識して行いましょう。鼻から吸って、口か鼻から吐いてください。ここでのポイントは舌の先を上あごにくっつけて空気を吸うこと。舌が下にあると気道が狭くなってしまい、空気が入りづらくなってしまいます。3分ほど行ってください。

▼腰痛・肩こり・目の疲れがほぐれる呼吸法

肋骨の下あたりをおさえ、鼻から吸って、肺を360度全方向に膨らます1・肋骨の下あたりをおさえ、鼻から吸って、肺を360度全方向に膨らます 撮影=今井一詞
吸った息を、口または鼻から吐いて、肺がしぼんだ様子2・吸った息を、口または鼻から吐く。写真は肺がしぼんだときの様子 撮影=今井一詞

 特に猫背の人は、背面の肺が広がりにくいので、うつぶせで呼吸するのもお勧めです。

 手をおでこの下に重ね、うつぶせになって、背面を意識しながら3分ほどゆっくり呼吸しましょう。背中にタオルを乗せておくと、息を吸ったときに背中が膨らむのがわかります。

深呼吸で横隔膜の働きがよくなり
痛みや緊張がほぐれる

 この目を覆うポーズと、深呼吸によって体の痛みや緊張の半分は取れると考えています。

 なぜならしっかり呼吸をする、長くゆっくり吐くことができると、胸と腹を横に隔てている大きな筋肉「横隔膜」の働きが良くなり、副交感神経が高進され、リラックス(脱力)効果を生むのです。横隔膜は「首」「肩」「腰」とも関わりが深いため、これらが凝っていたり不調だったりという人も、深呼吸によってかなり改善されます。

 その仕組みをもう少し詳しく解説しましょう。