深呼吸で腹横筋が動けば
「おなかぽっこり」も改善
ここまで読んで、でも重い物を持つときなどに腰が痛くなるのは、呼吸とは関係ないじゃないかと思う人もいるかもしれません。それは違います。腹横筋がしっかり働いている、インナーユニットがばっちり機能していれば、物を持つときなどに瞬時に体幹が発揮され、体が安定するのです。
一方でグラグラしてしまう人は、腹筋に力が入らないから、背筋部に過剰な負担がかかり、重い物を持つたびに腰が痛くなってしまいます。腰痛や肩こりが起きるとその部分の体操を重点的にやってしまいがちですが、脱力して力みを取り、深い呼吸をして副交感神経を優位にすることのほうが重要です。
ところで腹横筋は、みなさんがよく気にする「おなかぽっこり」にも関係します。ですから横隔膜を動かして深呼吸を繰り返し、インナーユニットを機能させることで腰痛も肩こりも良くなり、ぽっこりおなかも改善します。
ちなみに外側の筋肉ばかりに目を向け、インナーユニットの言葉も知らないトレーナーが少なくありません。そういった人からは外側の筋肉しか知識を得られません。大切なのは前回紹介した体を支える深層部の筋肉「インナーマッスル」や、インナーユニットなどのような体幹に関わるものです。
また「深呼吸をどれくらい行えばいいのか」とよく聞かれますが、前回のボディマップ体操と同様、脳に定着させるためには頻度が多いほうがいいです。とはいえ時間を多く取る必要はありません。1日のうちで朝に10回取り組む形よりも、1回や2回でいいですから隙間時間に何度も行うといいでしょう。