横隔膜の働きが悪くなると
腹横筋と多裂筋も動かなくなる
呼吸をするとき、肺は自分で勝手に膨らんだり縮んだりすることができません。呼吸を行うために大きな役割を果たしているのがインナーユニットと呼ばれる筋肉群です。

これは4つの筋肉――横隔膜をはじめ、ろっ骨の下のおなかの部分を覆っている「腹横筋」、骨盤の下にハンモックのように内臓を支えている「骨盤底筋」、背骨周りの「多裂筋」――を総称した呼び名です。上から横隔膜、下から骨盤底筋、横と前が腹横筋、背面を多裂筋が囲み、箱状のセットが息を吸うときに開き、吐くときに閉じる仕組みです。ここで重要なことがインナーユニットのうち、まず横隔膜が働くことで他の3つの筋肉が動くということです。
ですから横隔膜の働きが悪くなると、それによって腹横筋と多裂筋も動かなくなって「腰痛」になりやすくなります。また横隔膜の働きの悪さは「肩こり」も引き起こします。つまり呼吸は「腰痛」の原因にも、「肩こり」の原因にもなるのです。
横隔膜の働きが悪くなる理由は
現代人が夕方以降も浴び続ける光
それではなぜ横隔膜の働きが悪くなるのか。
ろっ骨の開きが大きい「リブフレア」(ろっ骨の下角が91度以上)になってしまっているからです。呼吸をするときに開いたり閉じたりするろっ骨が、開いたままの状態ということですね。そのため横隔膜も十分に機能しません。あおむけになって腰が痛い人は、ほぼリブフレアでしょう。
根本的な原因は「目」にあると考えています。現代社会では自然光ではない光を夕方以降も目から浴び続け、そのため夜になっても交感神経ばかりが働き続けています。交感神経は生きるために狩りをする際や猛獣から逃げるとき、瞬時に動けるようにするために血圧と呼吸数を上げ、筋肉を緊張させる働きを持っています。
交感神経が高進している状態は、臨戦状態であり、浅い呼吸になります。横隔膜が動かなくなってしまうというわけです。