高石あかりと吉沢亮の息のあった演技
なんとか部屋のなかに入ることができたトキ。でも、銀二郎は仕事に出ていて、部屋にはいなかった。彼はいま、車夫として働いている。
錦織の第一印象は怖かったが、悪い人ではなさそうで、トキの足のケガに気づいて、薬をくれる。
ここでもまた高石あかりの見せ場。疲れて寝てしまうが、夢見てニヤニヤしていたが、ガバっと起き上がり「金縛りでございます」とうれしそうな顔をしたかと思うと、また寝ていびきをかく。流れるように滑らかに演じる高石あかり。
「アンビリーバブル」とびびる吉沢亮のリアクションも適切。ふたりの息が合っている。
夕方になってトキが目覚めると、錦織はいなくて、代わりに根岸(北野秀気)と若宮(田中亨)がいる。彼らは帝大生で松江出身、銀二郎の同居人というか、野垂れ死にしかけていた銀二郎を助けてここで一緒に住まわせてあげているようだ。
根岸と若宮は蛇と蛙の人間バージョンのようで、状況説明を一手に引き受ける。さっきまでいた錦織は明日試験を控える身であり、松江では神童――大盤石と呼ばれる天才だった。
うわさをすれば、錦織が帰ってきて、狭い部屋で、4人は水で乾杯。そこへついに銀二郎が――。
その頃、松江ではフミ(池脇千鶴)たちが、トキが「取り乱していた」理由を、サワ(円井わん)から聞いていた。
自分が雨清水家の子であったことを知ってしまったからこその、あの取り乱し様だったのだ。
こうなると、松野家に残る意味はないのではないか。このまま東京暮らしを選ぶのではないか。不安になる松野家。「育ててもらった恩があるじゃろ」と自信満々の司之介(岡部たかし)。どの口が言うである。
サワと比べて「あいつはそげな薄情娘ではない」と言う勘右衛門(小日向文世)。悪い人ではないけれど。なにかと無礼なのが司之介と勘右衛門だ。武士の心はどこへやら。人間の本音と建前や、完全なる善人はいないという世の習いを体現している。
