ジェネリック業界の再編は
今後も重要な国家政策
ジェネリックは、そのような苦労のもとで安価に生産しているのですが、薬価はやはり通常の薬と同様にどんどん下げられていきます。
そのため、新しい特許切れの薬のジェネリックを、次から次へ開発し生産していかなければならないのです。そんななかで、品質を向上させ、医療の現場に安定的にジェネリックを提供していくためには、それなりの企業の規模が必要となると考えられます。
しかし、ジェネリック医薬品は、先発薬を製造するメーカーと比べ中小規模の企業がほとんどです。
『知っておきたい医療リテラシー 日本の医療の効率と公平を問う』(林 行成、日本評論社)
ジェネリック・メーカーの最大手である沢井製薬の2023年3月期の売上げを見ると、約1600億円となっています。一方で、先発薬メーカーの最大手の武田薬品工業の同時期の売上げは4兆円を超えていますから、その規模の違いは明らかです。
国家政策の柱として急速にジェネリックを普及させてきましたが、ジェネリック業界が普及の成長速度に追いつけなかったのかもしれません。
しかし、ジェネリックが普及することは、新薬の開発に重要な意味を持ちますから、信頼に足るジェネリックを安定的に供給していくことは重要な取り組みです。そのためには、下がり続ける薬価をある程度抑え、ジェネリック・メーカーを育てていくことが必要と考えられます。
また、ジェネリック・メーカーの規模を大きくしていくことが、効率的に多品種かつ大量生産を可能とすると考えられますから、M&A(合併・吸収)を通じたジェネリック業界の再編に対しても、国が積極的に後押ししていく必要があると考えられます。







