安価なジェネリック医薬品を
広く普及させた秘策とは?
近年話題となっているジェネリック医薬品(以下、ジェネリック)の問題も、下がり続ける薬価の問題に関係しています。ジェネリックは後発薬とも呼ばれ、特許が切れた技術を用いてつくられる薬のことを指します。なお、特許の元となる薬を先発薬といいます。薬の特許期間は原則20年で、申請に応じて5年の延長が認められますから、特許期間は最長で25年間になります。
ジェネリックは、すでにある先発薬の技術を用いてつくり、開発費用はそれほどかからず生産費用も安くすみますから、薬価も低く抑えることができます。医療費の節約のためには、特許が切れたら先発薬からジェネリックに切り替えていくことがだいじになるのです。
実際、医療費節約のため、ジェネリックの普及は政策的に進められてきました。後発医薬品の使用割合を見ると、2005年9月では32.5%であったものが、2023年8月では81.86%に上昇し、急激に普及が進んだことがわかります。
ところで、どうやってジェネリックを普及させたのでしょうか?医療現場にジェネリックを使うよう強制することはできませんから、普及させるためにはメリット、つまりお金をばらまくしかありません。特許が切れた薬があれば、先発薬よりもジェネリックを使うことで、医療機関には診療報酬が入るようにし、ジェネリックを使うほうが得になるような制度をつくったのです。
このため、ジェネリックの薬代自体は安いのですが、ジェネリックを使うことで医療機関や薬局に支払う基本料金のようなものは高くなります。このため、薬代は節約できるのですが、医療費全体が逆に高くなることもあります。
ジェネリックのCMなどでは、ジェネリックを使うと安くなるといった謳い文句が流れますが、全体の医療費ではそこまで安くなってない、あるいは、高くなっている可能性もあるのです。
それでは、ジェネリック医薬品を普及させる意味はどこにあるのでしょうか?じつは、ジェネリックを普及させるのは、医療費節約という意味以上に、先発薬を作る製薬企業(先発薬メーカー)の研究開発に刺激を与えることができます。







