そうすることでお客に大切なお金を預けてもらう信用を築いてきたわけです。
その信用があればこそ、私たちは銀行にお金を預けるのですが、もし信用がなくなればどうなるか?不安が広がり、預金者たちがいっせいに預金を引き上げる……なんてことが起きれば、銀行はたちまち経営危機に立たされます。
つまり、人々の気持ちひとつで銀行の存続は左右されるわけですが、その銀行の生命線である信用は、形のある製品などではなく、見た目の印象によって形成されているのです。
経済の要である金融が、人の気持ちとか印象といった移ろいやすいもので成り立っている――。こうしたところにも、合理性や数式だけではとらえられない経済というものの実態をうかがうことができます。
「確証バイアス」が
重大なミスを招くことも
直感的に決めるヒューリスティックは、ある程度の判断ミスは避けられません。そうしたミスを誘発しがちなのが「確証バイアス」です。
これは無意識のうちに自分にとって都合のいい情報ばかり集めてしまう傾向のことで、自分の思い込みや好みが原因になります。
「への字の口をした人は頑固者」とか「仕事のできる人は食事も早い」とか、自分の経験則からつくられたものをあたかも真理であるかのように思い込む。
あるいは、何か判断するにあたって、知らず知らずのうちに「好き嫌い」のモノサシを当てて好みの情報ばかり集めてしまうなども確証バイアスといえます。
思い込みや好みで判断しがちなのは人間らしい一面ですが、確証バイアスの問題点は、気に入らない情報をシャットアウトしてしまうこと。
これがときに重大な判断ミスを招くことを肝に銘じておきたいものです。
プラシーボ効果を
うまく利用するコツ
私たちの判断をゆがめる原因である“思い込み”について、もう少し続けましょう。
「プラシーボ効果」をご存じでしょうか。有効成分のない偽薬を本物のクスリと信じて患者が服用すると、ある程度の割合で症状が実際に改善する現象です。







