インド、トランプ氏発言に慎重な対応 ロシア産石油購入巡りPhoto:NurPhoto/gettyimages

 インド政府は16日、同国がロシア産石油の購入停止を約束したとドナルド・トランプ米大統領が述べたことについて、慎重な対応を試みた。インドはトランプ氏の発言に異議を唱えつつも、米政府との貿易交渉を頓挫させかねないことから、公然とした否定は避けている。

 トランプ氏は16日、記者団に対し、インドのナレンドラ・モディ首相はロシア産石油の購入を停止すると述べたと伝えていた。米政府は、ウクライナでの戦争に向けたロシア政府による資金調達を断つ取り組みの一環として、この対応を求めていた。

 トランプ氏は大統領執務室で、「彼はロシアから石油を購入しないと私に約束した」と述べ、「これは大きなニュースかもしれない」とした。トランプ政権は8月、インドに50%の関税を課し、このうち半分は同国がロシア産石油に依存していることへの制裁措置だとしていた。

 インド外務省のランディル・ジャイスワル報道官は16日、トランプ氏とモディ氏が前日交わした会話について把握していないと記者団に説明。ジャイスワル氏は声明で、インドは米国からの輸入を含むエネルギー供給の多様化によって消費者を保護することに注力しているとしたが、ロシア産石油については言及しなかった。

 インド政府はまた、過去10年間に米国からのエネルギー購入を増やしており、トランプ政権とのエネルギー協力の強化について協議しているとも述べた。インド首相府からは今のところコメントは得られていない。

 インドはトランプ氏が大幅な関税を振りかざしたにもかかわらず、夏にはロシア産石油の購入削減を断固拒否していた。今回の慎重な表現は、同国の方針転換を示す。